内容説明
2011年3月11日、福島第一原発事故。暴走する原子炉。それは現場にいた人たちにとって、まさに「死の淵」だった。それは自らの「死の淵」だけではなく、故郷と日本という国の「死の淵」でもあった。このままでは故郷は壊滅し、日本は「三分割」される。使命感と郷土愛に貫かれて壮絶な闘いをつづけた男たちは、なにを思って電源が喪失された暗闇の原発内部へと突入しつづけたのか。また、政府の対応は……。「死」を覚悟しなければならない極限の場面に表れる、人間の弱さと強さ。あの時、何が起き、何を思い、どう闘ったのか。原発事故の真相がついに明らかになる。菅直人、班目春樹、吉田昌郎をはじめとした東電関係者、自衛隊、地元の人間など、70名以上の証言をもとに記した、渾身のノンフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
294
福島第1原発についての一冊。あれから10年近く経って映画化も決まって、当時の方達の挺身が冷静にようやく多くの人に伝わるようになってきたが、原発事故自体は防げたかもしれないけど、こういうもしもが今後も続く原発の管理は人間ではできない世界になってるような気がする。吉田所長達の頑張りに日本が救われたというのは本当に日本人皆が強く記憶していないといけないと思う。また第二第三の吉田所長の立場の方を輩出するような事態にならないで欲しいな。2020/06/28
鉄之助
252
福島第一原発・吉田所長の500日を追ったノンフィクション。この原発は、太平洋戦争末期、特攻隊の訓練基地であった跡地に建設された、という。当時多くの若者が命を落とした基地と、死の淵に立ちながら原子炉制御の戦いを続けた職員のシーンが重なる「プロローグ」から、グイグイ引き込まれていった。気になったのは、事故後、急に行われた「首相ご一行様」の現地視察。イラ菅とあだ名される菅直人首相の怒鳴り声が、現場に響く。「必死になった」首相のために、官邸や現場がいかに混乱状態になったかが、淡々とつづられている。2019/01/23
おしゃべりメガネ
245
スゴい、スゴ過ぎる。とにかく『壮絶』としか言い様のない熱きオトコ達の戦いがしっかりと記録されています。東日本大震災で被害を受けた「福島第一原発」において、吉田所長を筆頭に復旧に向けて、とにかく‘使命感`のみで、文字どおり不眠不休で作業に従事する真実の姿が描かれています。本書に書かれている当時の某首相とのやりとりは、とにかく絶句してしまいます。当時も今も色々とメディアに書かれていますが、正義か悪かは別にして、ここに偽りようのないドラマがあり、特に後半の「家族」の章は涙なしには読まずにはいられませんでした。2016/06/01
きみたけ
193
福島第一原発所長として最前線で指揮を執った吉田昌郎氏のドキュメント。突然襲った大地震とその後の大津波、電源喪失状態 は自らの「死の淵」であったと同時に、国家と郷里福島の「死の淵」でもあったはずで、そんな事態に直面した時人は何を思いどう行動するのか、当時の緊迫の状況が伝わってきます。日本の半分が住めなくなる事態を回避できたのは、まだ原子炉建屋に入れる内に「水」を入れるラインを確保できたおかげで、その後の「冷却」が可能になったのが大きいと思いました。吉田所長が事故後1週間経って妻へ送ったメールに涙が出ました。2021/06/26
ちょろこ
149
感謝の念、涙の一冊。あの日、不眠不休で戦ってくれた人達がいたことを改めて心に焼き付ける。まるで戦場。誰もが恐怖を通り越した精神状態で立ち向かう姿に言葉なんかでは足りない言い尽くせない感謝の念、涙が溢れてくる。冷却、あの時の一瞬の吉田所長の判断、指示、それがどれほどの価値に値したのか、それを決して忘れたくはない。今更だが、最悪の事態は回避できたで済ませるべきことではないこと、当然のことをしたと言い切る人達のおかげで今があること。そして何より結果オーライではなく未来へ繋ぐことの大切さ。それが一番大事。2021/04/04
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