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内容説明
よく知られる昔話の多くがハッピーエンドで終わる。この幸せの物語を構造分析で解き明かすと「贈与」「援助」「交換」といったキーワードが見えてくる。語りつがれてきた幸せの像を捉えなおす意欲作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
すがの
5
安っぽい自己啓発本のタイトルのようだが、そうではない。桃太郎や花咲爺などの「昔話」を構造化(レヴィ・ストロース風)し、中でも贈与に注目することで(モース、デリダ風)何らかのヒントを得ようとする労作。プリマー新書なので文章はきわめて読みやすく、かつ身近な題材を使いながらダイナミックな議論を展開する一冊である。2015/12/18
Z
4
良書。昔話は、「欠如」が「充足」するプロセスを描いている。人生のターニングポイントでは、援助者からの贈与を受け取っていることが多い。幸運をつかむのは、贈与を気づかず素直に受け取ってる人か、贈与に気づいて感謝の気持ちで受け取ってるいる人。世の中に、たくさんの援助者や贈与が溢れていることに気づけば、もっと毎日が豊かになるはず。2016/04/05
乱読家 護る会支持!
3
多くの昔話から、昔から引き継がれてきた「幸せのかたち」について考える本です。 幸せになる人は、見返りを求めずに与え続ける人。不幸になる人は、見返りを求める人。 現代社会においても、損得勘定で生きる人、やられたらやり返す人は、幸せにはなれないように思います(なので、半沢直樹はいつまでも敵が現れ続け、幸せにはなれない)。 同様に、何でもかんでも権利を主張する人も、やっぱり幸せにはなれてない人が多いように思います。心の貧しさは、幸せを遠ざけます。 自分の為ではなく、他者のために生きる。 そうありたいものです。2023/10/01
郷里
3
「贈与」や「援助者」という観点から昔話を分析しているのは興味深い。ただ、外国の昔話がほとんど出てこないし、取り上げられている昔話の数も少ない。哲学的で人生訓めいた文章が目立つので、純粋な昔話論を期待して読むと肩透かし。プリマー新書なので若い読者が入り込みやすいようにこういう書き方をしたのかもしれないが、それなら肝心の論文部分をもっとわかりやすく書いてほしかったな。2016/04/19
marukuso
2
昔話を題材にどのような人物が幸運をつかんで来たかをたどっていく。桃太郎や一寸法師などの昔話の構造から「贈与」を手掛かりに考える。優しいようで意外と難しかった。著者は幸運をつかむ人物とは単に幸運な人物、見知らぬ他者に気づき、感謝できる人物、自分の才能で幸運をつかむ人物の3つのタイプがあると言っているが、一番大事なのは2番目の人物であることは間違いない。足るを知るということだろうか。2015/12/22