内容説明
端正で知的な顔の背後に地獄の残忍性を忍ばせた恐るべき犯罪貴族グルーナー男爵との対決を描く「高名な依頼人」。等身大の精巧な人形を用いて犯人の心理を攪乱させ、みごと、盗まれた王冠ダイヤを取戻す「マザリンの宝石」。収集狂の孤独な老人がその風変りな姓ゆえに巻込まれた奇妙な遺産相続事件のからくりを解く「三人ガリデブ」。ますます円熟した筆で描く最後の短編集である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
129
★★★☆☆ ホームズ短編集はどれもおもしろいのだが、本作はハズレ作品(と感じるもの)も含んでいる。 それでもホームズらしい力技ですっきり終わる『高名な依頼人』や、トリックこそ使い古されたものだけど方法が奇抜であり、ホームズのワトスンに対する愛の強さも垣間見れる『三人ガリデブ』などはかなりお気に入りである。 『ソア橋』も好きだけど、ホームズより早く真相にたどり着けたし、謎としては大したことないかな(^^;)2019/04/25
ヴェルナーの日記
126
『ネロ・ウルフ・シリーズ』で有名な推理作家レックス・スタウトは、シャーロキアンとしても有名で、彼の論文に『ワトスンは女だった』という説がある。これ元に製作されてのが、アメリカの海外ドラマ『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』だ。ロンドン警視庁の顧問をしていたホームズが、薬物依存のリハビリのため米国に移住し、彼の付添人として派遣されてきた元外科医出身のジョーン・ワトソンという女性を相棒として、凶悪犯罪の捜査するという設定になっている。一風変わったシャーロック。ホームズを観たい方は、一度ご覧あれ!2015/11/08
Die-Go
105
一人シャーロック・ホームズ祭り第10弾。聖典。再読。短編集。ワトスンの語りのないホームズの一人称による二編を含む。でも、やっぱり二人が一緒がいいな。シリーズ最後に来てあまり面白いと感じられなかった。『ソア橋』は面白かったけど。聖典は本当は本作で終わりだが、新潮文庫では他の短編集には入りきらなかった短編集『~の叡智』を残す。★★★☆☆2016/04/15
Tetchy
84
あまり云いたくはないのだが、明らかにドイルはネタ切れの感があり、前に発表された短編群とアイデアが似たようなものが多い。代表的な例を挙げれば「三人ガリデブ」がそうだろう。これはほとんどまんま「赤毛連盟」である。しかし、カーを髣髴させる機械的なトリックが印象深い「ソア橋」が入っているのも本書であるから、苦心していたとはいえ、ヴァラエティに富んだ短編集であることは間違いない。特に最後に「覆面の下宿人」のような話を持ってくる辺り、心憎い演出ではないか。2009/06/21
ジェンダー
67
依頼人の人相や出会った人もまたイギリスの街並みも何となく想像して読めるので楽しみながら読めます。手紙や電報が多いのは時代を感じます。しかも短編なので短くてすぐ読めるのは良いですね。また初めに事件のあらましを聞けるのでどういった事件なのか想像して読めるのは良いですね。しかも話してる様子などを観察しながら話を聞いても確実になるまではあせらずに話さないので早く真相を語らないのはあせらずに不用意な事を言わないのが良いですね。今まで出会った人や事件の索引がちゃんとまとめられているのは意外でした。2013/12/09