内容説明
現代文学を牽引し続ける著者の初期短篇7作品。文学と社会への強烈な批評精神と、アイロニックな饒舌文体で繰り広げる島田文学の原点。収録作「観光客」「聖アカヒト伝」「ある解剖学者の話」「砂漠のイルカ」「アルマジロ王」「断食少年・青春」「ミイラになるまで」
目次
観光客
聖アカヒト伝
ある解剖学者の話
砂漠のイルカ
アルマジロ王
断食少年・青春
ミイラになるまで
解説 青山七恵
年譜 佐藤康智
著書目録 佐藤康智
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
54
初期短編集ということで、今から30年位前の作品集なのですね。それでも古さを感じさせず、逆に斬新さを感じさせます。今はあまり執筆なさってないようですが、今の島田さんが書くとしたら、どんな作品を書くだろうと想像します。2021/01/31
きりぎりす
5
初島田作品。なるほど文学とは性愛と飢餓なのか。2022/05/01
hirayama46
4
全部の短編が初読みでした。そうか、島田雅彦ってこういう作品をたくさん書いていたのか……。たいへん興味深い一冊でした。雰囲気としては海外の奇想短編集を読んでいる感じに近かったです。お気に入りはタイトル通り解剖学者の淡々とした日々を綴った「ある解剖学者の話」、地上に堕ちた天使を描く「砂漠のイルカ」、人間が徐々に死に向かう際の手記というかたちをとった「ミイラになるまで」かな。2016/01/12
EPOCALC
3
矢野顕子が「食べ物」について歌うのは食べることが全人類に普遍的な行為だから、という話を聞いたことがあったけれど、表題作もそれに近しい普遍性を感じた。食欲って何でしょう。2022/05/23
たなぴー
3
初島田作品で今から30年ほど前に書かれたものだけど古さを感じない。島田氏が一体今どんな作品を書いているのか、この作品を書いた若者はいまどんな作家になっているのか知りたくなった。2017/03/04