創元推理文庫<br> 犯罪

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創元推理文庫
犯罪

  • ISBN:9784488186029

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内容説明

一生愛しつづけると誓った妻を殺めた老医師。兄を救うため法廷中を騙そうとする犯罪者一家の末っ子。彫像『棘を抜く少年』の棘に取り憑かれた博物館警備員。エチオピアの寒村を豊かにした、心やさしき銀行強盗。――魔に魅入られ、世界の不条理に翻弄される犯罪者たち。高名な刑事事件専門の弁護士である著者が現実の事件に材を得て、異様な罪を犯した人間たちの哀しさ、愛おしさを鮮やかに描き上げた珠玉の連作短篇集。クライスト賞ほか文学賞三冠、2012年本屋大賞「翻訳小説部門」第1位に輝いた傑作。単行本より改訂増補された最新決定版!/解説=松山巖

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

W-G

494
凄い読み味な短編集。導入はあっさりめ。『サマータイム』あたりから、含みを持たせた締めくくり方で、少しずつ頭がこんがらかってくる。昔のドラマ『世にも奇妙な物語』が全話アタリだったらこんな作品になるのかなと連想した。ラスト数行が意味深な話が多く、『サマータイム』と『緑』に関しては、自分でも、ちゃんと理解出来ているか自信がない。特に『緑』のラストの台詞はどう解釈されているのか、色んな人の意見を聞いてみたい。あと、『棘』の出勤カードの紛失のくだりは、ドイツではどれくらいリアリティが感じられるのだろうか。2018/04/13

青乃108号

229
全11話、平均26ページでそれぞれの犯罪の発端から裁判の結審までを弁護士目線で語る、という結構無理矢理な本。当然の様に語り口は淡々としており、淡々とし過ぎて物語ではなくレポートを読まされている感覚になる。1話目の、50年に渡り年上女房に搾取され続けた男が、75歳にしてついに妻を殺してしまう話が唯一印象深い。しかしたった30ページ弱の短編ではこの男の虐げられた50年の重みは到底表現できていない。長編化されれば是非読みたい。その際には三部構成の大長編でお願いしたい。2023/04/23

サム・ミイラ

222
いずれの話も短くさらりと読める。だが重い。ここには真実の重みがある。弁護士である作者の経験から書かれた十一の物語。悲しくやりきれなく、時に滑稽なほどに個性的である。それはここに描かれるのが犯罪を通して垣間見る人間の性そのものだからだ。感情を挟まず淡々と文章は続く。まるで調書のように。しかし私達はそのぶん作者の胸の奥の熱さを、すべての人への愛情を、優しい眼差しを感じ取れるのだ。ミステリとしても秀逸な「サマータイム」ヒューマニズム溢れる「エチオピアの男」デューク東郷をあて書きしたような「正当防衛」が良い(笑)2018/10/12

KAZOO

170
このような作品が本屋大賞になるということは、結構本屋さんの従業員の方々も見る目があるということなのでしょう。作家自身の経験でさまざまな事件からのヒントを得ているのでしょう。11の短篇が収められていて、あまり飾り気のない文体が私にはあっていると思いました。話自体は期待すると肩透かしを食うような話もあったりで、玉石混交のような感じもしました。ただ私は好きな作家になりそうです。2015/10/28

🐾Yoko Omoto🐾

158
弁護士である“私”が弁護人を務めた11の事件が描かれた短編集。誰かに感情移入させるような情感ある文体とは異なり、起こった事件のあらましと結末が実録さながらに淡々と綴られる。印象に残ったのは「銀行強盗は、かならずしも常に銀行強盗であるとはかぎらない」という一文。確かに法治国家において罪に法的裁きは必要ではあるのだが、そこにはそれぞれの様々な事情や理由や背景が往々にしてあり、罪=悪とは決して言いきれない事件も数多く存在するということを教えてくれる。マイベストは「エチオピアの男」「愛情」「フェーナー氏」→2015/04/18

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