内容説明
2014年3月31日の国際司法裁判所の判決により、日本は、南極での調査捕鯨の中止を命ぜられ今後の捕鯨政策の見直しを迫られている。
国はあらためて捕鯨を開始する意向を示したが、世界から厳しい目で見られることが予想される。 このニュースに接し、国内では、「反捕鯨」に対する「反・反捕鯨」の感情が高まりつつある。 しかしそれは適切な感情なのか、あるいは間違っているのか。この問題は、様々な思考が錯綜し、問題をとらえるのが難しい状況となっている。 いまここで、より中立的な視点で問題をとらえ、皆で考えていく必要がある。 「推進派」対「反対派」という2項対立という構図を超えた議論を進めるにはどうすればよいのか。本書では過去に公刊された資料、また実際の裁判記録を精査して冷静な立場で捕鯨問題に向き合い、捕鯨論争についてオンブズマン型の視点にたち、中立的・批判的検証を行う。 その中で、今後日本はどう世界と向き合い、つきあっていくべきか、解決策を探る。そもそも人とクジラはどうかかわってきたのか、捕鯨は日本の文化なのか、調査捕鯨とは何か、世界はどう見ている(考えている)のか、日本人が知っておきたい多様な項目をわかりやすく整理する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
速水こもみち
15
捕鯨推進派、反捕鯨派の枠組みを取り去り、真に捕鯨の未来とはどういうものか、幅広く科学的な側面も踏まえながら議論すべき時期に来ていると思う。捕鯨裁判についてよく解説されていると感じた。2016/01/19
nob
6
南極調査捕鯨が国際法違反と断じられ、日本の完敗に終わった2014年捕鯨裁判のドキュメント。そこから見えてくるのは、あるべき捕鯨政策に、本来無関係なはずの「捕鯨文化論」と反捕鯨集団に対する反発感情が混ぜ込まれた「コンプレックス」にあると著者は指摘。裁判では、日本の調査捕鯨には科学的視点が決定的に欠落していることが暴露された。反捕鯨側には確実に感情論のバイアスが存在するが、日本捕鯨政策の抱える歪みはそれ以前の問題に思える。ここを解決しない限りIWC脱退しても先はない。何のため、誰のための捕鯨再開なのか。 2019/03/12
arnie ozawa
1
捕鯨推進でも反捕鯨でもない視点からの捕鯨問題への視点という意味では興味深い。特に日本では当然の話として共有されている「文化としての捕鯨と鯨食」について冷徹な判断をしているところは斬新。ただ、文化か否かという判断に単に歴史的・地域的な広がりの有無だけを基準にしている点は偏っていると思う。また、結局、捕鯨論議も種としての鯨の保護という視点だけでなく、政治的な事由が大きく影響していることを明らかにしており、捕鯨裁判においても真実か否かより法廷戦術的な考え方の必要性があることを明示している点が面白い。2017/08/29
-
- 電子書籍
- ギャルゲーマーに褒められたい【分冊版】…
-
- 電子書籍
- セイサイのシナリオ 61話「戻れない」…
-
- 電子書籍
- 【デジタル限定 YJ PHOTO BO…
-
- 電子書籍
- 紅色HERO 4 マーガレットコミック…