文春文庫<br> ゾーンにて

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紙書籍版価格 ¥704
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文春文庫
ゾーンにて

  • 著者名:田口ランディ
  • 価格 ¥702(本体¥639)
  • 文藝春秋(2016/02発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167905262

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内容説明

福島第一原発から半径20キロ圏内は、警戒区域となった。人が立ち入ることのできない場所〈ゾーン〉に棲むものたち。
現代の巫女・田口ランディが、極限に生きる命の輝きを描く「魂身の」中篇集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おしゃべりメガネ

154
2011.3.11東日本大震災からもうすぐ5年が経とうとしております。本作は被災地福島の警戒区域【ゾーン】と呼ばれるエリア近隣での現状を書いた作品です。とにかく、全体を通して重たいです。もちろん軽いワケがなく、田口ランディさんだからこそ、こういうスタイルで書きとおせるのかなと思われます。被爆、マイクロシーベルトなど、普段の生活には程遠い用語が次々と普通に繰り出され、被災地の‘今’を浮き彫りにしています。そんなエリアでも、人々が色んな想いを抱え、生きていこうとする姿勢に涙なくしては絶対に読めない作品でした。2016/02/14

佐島楓

49
福島原発事故を扱う小説の難しさを思う。小説家、表現者としての性とジレンマ。2016/03/27

TANGO

39
あれからの福島を描く中篇四篇。見られたくないところを見せられるような、痛いところをつかれるような、田口さんの描く物語は、いつも読むと胸が痛くなる。生と性と静と正と牲と誠と精。入れ違い擦れ違い行きずりあっていく人びと。痛みは他人には分からない。思いもまた同じ。それでも、毎日は続いていく。分かりあえなくても、分かち合えるものを見つけたとき、日常を愛せるのかもしれない。2016/11/21

taku

23
原発事故後の福島、警戒区域を題材にして、抑圧と解放、出会いと別れ、生と死を描いた四編。全編通して、人の感情や行動は理屈じゃ説明できないことがある、ということも表していると思った。震災、事故という難しい題材のせいか、消化不良な印象。でも『牛の楽園』はいい。どうしようもないやるせなさが漂うなか、がんに冒された男の独白はユニークだ。連作になっている『ゾーンにて』『海辺にて』は、主人公女性が受け付けられなくて少々気持ち悪い。2016/05/11

はなすけ

15
チェルノブイリの祈り」の絶望感に打ちのめされ、途中休憩して読んだ。決してフクシマの方がマシ、という話ではない。 チェルノブイリの恐怖が底なしすぎて、放射能に対する主人公羽鳥よう子(てか、ランディさんの)の客観的視点にすがりたくなった。 「ゾーンにて」で描かれる放射能は今や我々にとっても日常の一部となった。放射能とともに生きなければならない時代なのだということ、人生の終い方についてポツポツと思いをめぐらせる。不思議と、静謐な短編集なのである。2020/07/28

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