PHP新書<br> 日中関係史 - 「政冷経熱」の千五百年

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PHP新書
日中関係史 - 「政冷経熱」の千五百年

  • 著者名:岡本隆司
  • 価格 ¥770(本体¥700)
  • PHP研究所(2016/02発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784569826523

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内容説明

日中の関係は、古来、ほぼ疎遠であった。経済的な交流は盛んでも、相互理解は進まなかった。現代の日中関係を形容する際に「政冷経熱(経済面では交流が盛んなのに、政治的関係は冷淡であること)」と表現されることがあるが、そもそも千五百年間、日中間はずっと政冷経熱であったともいえる。遣唐使とは、少なくとも中国の側からすれば「敗戦国」からの朝貢使節に過ぎず、この時代、日本は東アジアから隔絶していた。江戸時代になると、寺子屋で漢文を庶民に教えるなど「漢語化」の傾向がみられるものの、中国文化を全面的に信頼することはなかった。一方、近代中国が西洋文明を学ぶ際、原文ではなく「和製漢語」を通じてその概念を把握しようとした。ゆえに彼らは西洋文明の本質を理解しなかった。そもそも和製漢語を生んだ日本語と日本に対する理解も、表面的なものに過ぎなかった――。サントリー学芸賞受賞者が、最新の研究成果を踏まえて真摯に綴る一冊。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ピオリーヌ

7
日本にとって中国は常に身近な大国であり、あらゆることに多大な影響を受けてきた。にもかかわらず親密だ、似ていると勘違いしていないだろうかと著者は警鐘を鳴らす。実際の両国は古来ほぼ疎遠な関係であり、我々は驚くほど中国のことを知らないし、そのことにも気づいていない。そこでまず相手に対する「完全な認識」を目指すべきだと続ける。歴史に興味のない人も皆読んでほしい。2020/01/30

in medio tutissimus ibis.

4
憧れは理解から最も遠い感情だよ(要約)。古代の日本は中国を通して文明を吸収しようとしたし、近代の中国は先んじて西洋文明を吸収した日本を通してそれを学ぼうとしたが、そこで必ずしも相手自体は学ばなかったし、一度学んだ相手の姿を更新し続けることもなかった。著者日中戦争前で筆を置いた。それ以後はいくらでも詳細を綴った本があるからと一応の理由は語られるが、その直前の倭寇という「経熱」が政治的対立を生んだ歴史を日中両国は学んでいないという件を見れば、低意は明らかである。出版五年後の今日それは現実の物となりつつあるから2020/08/04

ヒトコ

4
日中関係は、古代に海上交通が可能になった時からずっと、朝鮮半島を挟んで緊張関係にあったはず。でもそれにしては「日出づる処」文書問題や白村江敗退の後もそれ以上の混乱に陥ることはなく、元寇や秀吉の朝鮮出兵を除けば、明治になるまで大きな衝突はなかった。朝鮮半島が緩衝地帯になっていたからと思っていたが、実はずっと疎遠だったという解釈に目から鱗。「政冷経熱」日本は古来中国から色々な文化を取り入れ貿易も盛んだったが、互いに相手を理解しようとしなかった。だが今後は「完全なる認識」を目指す事が必要って事なんですね。2017/02/27

さとうしん

3
今までの岡本隆司氏の一般書の総まとめあるいは入門書的な位置づけ。前半の遣唐使とか元寇のあたりの話が今までの同氏の著書に見えないオリジナルの部分だが、その部分の内容は正直微妙。特に遣唐使の頃の日中関係については、近年の東部ユーラシア関係の研究を踏まえると、もっと違った評価が可能ではないか。2015/08/24

佐藤丈宗

2
古代以来ずっと日中関係は疎遠であったというのが、本書のキーポイント。かといってその歴史は無駄であり、友好など幻想だと語るような浅薄な本ではない。日本と中国は異質の存在であり、疎遠でありながらも影響を与えあったという一見矛盾するような関係性も歴史を紐解いていくことで理解できる。その過程はダイナミックで非常に面白い。結局のところ、日本も中国も、お互いのことを真に理解しようとしてこなかった。「互いに知らない」ということを理解することをまずは知る。本書が語る日中関係の歴史は非常に示唆に富んでいる。2016/10/12

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