内容説明
苛烈な暴君か,有能な君主か.中国最初の皇帝の生涯は謎に満ちている.出生の秘密,即位の背景,暗殺の経緯,帝国統一の実像,焚書坑儒の実態,遺言の真相──.70年代以降に発見された驚くべき新史料群に拠り,『史記』が描く従来の像を離れ,可能な限り同時代の視点から人間・始皇帝の足跡をたどる画期的な一書.
目次
目 次
プロローグ
第一章 趙正出生──生誕の秘密 (一歳)
第二章 秦王即位──帝王誕生の背景 (一三歳)
第三章 ろうあいの乱──彗星は語る (二二歳)
第四章 暗殺未遂──刺客の人物像 (三三歳)
第五章 皇帝巡行──「統一」の実像 (三九歳)
第六章 中華の夢──長城と焚書坑儒 (四七歳)
第七章 帝王の死──遺言の真相 (五〇歳)
第八章 帝国の終焉──永遠の始皇帝
エピローグ──秦都炎上
人物紹介
参考史料・文献
始皇帝関係年表
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
260
読み進めていくと漫画キングダムのネタバレにもなりそうだったが、あっちはフィクションなので最後まで読んでみた。本書はキングダムについては触れられていなかったが、史実の方も中々面白く読めた。始皇帝の生涯を書いた一冊。2016/02/17
むーちゃん
134
小説ではないので面白味にかける。新書だから仕方がないと。ただ秦の始皇帝は本当はどんな人物だったかは興味が尽きない。2017/03/07
壱萬参仟縁
42
封泥(ふうでい)とは物資や文書を紐で縛り、その結び目に粘土を付着させ、発信元の官吏がその上に押印して固めたもの(118頁)。焚書坑儒は、一般イメージと違い、孔子の学問そのものを弾圧したわけでない。戦時体制下の人民を不安にしたことが法に触れたのであった。残忍な行為ももちろんあったという(154頁)。始皇帝は天文をかなり重視していた(161頁)。巻末に年表、参考文献などあるが、地名、人名、極めて難解。本書の前に入門書を参照しなければ理解し難い。2016/02/23
Tomoichi
20
同時に読んでいた「ファーストエンペラーの遺産」と同じ著者による始皇帝。FEの方はあっさりしか記述のなかった始皇帝ですがこちらはたっぷり詳して楽しめました。中国古代史は「史記」との戦いですね。2021/12/04
さつき
17
始皇帝について司馬遷の『史記』の記述ではなく、新たな発掘史料から考察しています。全然知識なく読んでしまったのでついていくのに大変な箇所もありました。『史記』では趙政とされている始皇帝の姓名が本来は趙正であったこと。匈奴に対するための軍事高速道路、直道。南部の水上交通のための運河、霊渠。などが興味深かったです。2015/12/03