内容説明
ことばは知らない間に人間の行動を左右する.標準語と方言,英語と現地語など,複数の言語が関わる状況では,優劣を生み出す無意識の力学が働く.問題を科学的に解決するための言語学――応用言語学の最新の研究から,外国語教育,バイリンガリズム,異文化との接し方,法言語学,手話,言語障害など幅広い話題を紹介.
目次
目 次
プロローグ 問題解決のための言語学
第Ⅰ部 多言語状況
1 標準語と方言
2 国家と言語──言語政策
3 バイリンガルは悪か
4 外国語教育
5 手話という言語
第Ⅱ部 社会の中の言語
6 言語と文化
7 無意識への働きかけ──政治・メディアのことば
8 法と言語
9 言語障害
10 言語情報処理はどこまで来たか
あとがき
用語一覧
参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
279
方言の話から言語にまつわる話が勉強になった。消滅言語を守るっていうのもなぜ守るのか?と言う問題もあり、どんどん今存命の方が亡くなると消滅する言語が多くあるのも知った。2016/05/02
Nobu A
16
読書中感想がコロコロ変わるのも珍しい。タイトルから言説研究が中心なのかと思った。「多言語状況」と「社会の中の言語」各5章2部構成。前半は方言、言語政策、バイリンガル、外国語教育の現状等、国際比較も交えながらの概説。表層的に感じ、「これ、本当に岩波新書」と何度も訝しがる。手話辺りから知らないが故に俄然面白くなり、結局は言語学がどの領域にどのように応用されているか広く(紙面の都合上)浅く扱い、上手に纏めた1冊だと判明。手話と言語障害に関する歴史的背景や社会的運動が特に興味深かった。無意識の偏見は怖い。2021/01/19
葉鳥
15
著者のあとがきにある通り引用している具体例が身近でわかりやすく、すんなり読了。「標準語と方言」「言語と文化」「手話という言語」「無意識への働きかけ」が印象的。特に手話の認識が大きく変わりました。今まで自分が認識していた手話は日本語に沿って作られた人工的なものだと知り驚き。それ以前に自然に発生した手話と人工的な手話があることすら知りませんでした。言語の入門書として◎2013/12/12
壱萬参仟縁
15
単一言語主義か、二か国語言語主義か? タガログ語を子供に使わせるべきか、どうか。日本人とフィリピン人妻の間の子どもの言語の問題(48頁~)。10歳ぐらいが分かれ目の、バイリンガルになれるかどうかの問題(59頁)。インターナショナルスクールの存在は、多文化主義で、多文化共生が試みられる場となりそうだ。自閉症の生徒の言語習得の力量も、しっかりしたものだということがわかった。能力に応じて等しく教育を受ける権利、という憲法条文を活かして、できるようになるという喜びを感じてほしいと思っている。2013/06/01
サアベドラ
14
言語学の知見を実社会の問題解決に役立てようとすると、どういうことができるか。そのような研究は現在、「応用言語学」という名のもとでひろく行われており、本書はその成果のいくつかを平易な文章で紹介している。著者は『外国語学習の科学』の白井恭弘。この人は最新の研究を噛み砕いて素人にわかりやすく説明するのが得意なようで、前著同様、この分野に不勉強な私でも大変興味深く読むことができた。オススメ。2013/10/06
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