内容説明
美しい母親と姉のもとで育ち、容姿コンプレックスを抱えて美容整形を繰り返す27歳の絵里。大きな二重、高い鼻、脱色した髪と青いカラーコンタクトで、外国人のふりをして田舎の温泉宿に泊まるのが趣味の彼女は、ある日、向かった旅館で、「影」と呼ばれる嫌味ったらしい中年男性客と出会い――。不思議なエネルギーに満ちた第39回すばる文学賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
散文の詞
104
自分を色々な意味でごまかして生きている人たちの話で、そのうえ、温泉でもない場所「花」でその人たちが出会ってしまうのだが、これが、意外と面白い。 ある意味、これは出会うべきして出会った「温泉妖精」にまつわるファンタジーなのかもしれない。 でも、私は、「花」には泊まりたくないです。 2020/05/28
itoko♪
72
第39回すばる文学賞受賞作。タイトルと表紙のイメージとストーリーとのミスマッチ感が…。子どもの頃からコンプレックスを抱え、美容整形を繰り返している女性が、とある温泉宿で、金持ちだが性格に難があり冴えない中年男と出会う。タイトルの【温泉妖精】の意味には笑ってしまった。自らの殻を破り自分をさらけ出すことは勇気が要るけれども、思い切れば何てことはなかったりする。自分の人生は自分で変えていかないとね。2016/03/24
そうたそ
50
★★☆☆☆ 第39回すばる文学賞受賞作。美しい母と姉に囲まれ、容姿にコンプレックスを抱えて美容整形を繰り返す27歳の絵里。美容整形を繰り返した容姿で外国人と偽り田舎の温泉宿に宿泊するのが趣味の絵里は、ある宿先で「影」と呼ばれる厭味ったらしい中年男性客と出会う――。とまあ、こんなあらすじだが、ただそれだけ、の話だった。あらすじ以上でも以下でもない。タイトルと表紙からほっこりした内容を期待して読んだのだが、むしろネガティブオーラ全開で思っていたようなものとは違った。内容も薄っぺらいし受賞作とは思えない出来。2016/10/12
ちょき
49
第39回すばる文学賞、黒名ひろみ「温泉妖精」。温泉ブロガーの情報につられてやってきた主人公。全身コンプレックスを持った整形マニアで、外国人のふりして地方の温泉宿に泊まるのが趣味。本人も偽物なら温泉も偽物、出会った男もきっと偽物。こういう叙述的で詩的な作品こそ文学賞をとるのであって、お手本的な作品といった感じ。だが雰囲気、表現、なんともいえない良さはある。2016/10/05
あかは
40
すばる文学賞受賞作。自分の容姿にコンプレックスを抱き整形を繰り返す絵里。絵里が影と呼ばれる男と出会って……。という話。ほの悲しく、しかし、滑稽な話。ラストがいい。私も朝日が見たくなった。2016/03/27