内容説明
表題作「さらば、東京タワー」では、東京スカイツリーに日本一の座を譲り、零落した東京タワーを慰問、併設された水族館と蝋人形館にギョッとする。ある時は「ロボット掃除機ルンバを雇う」ことで自らの上司力のなさを思い知り、「相田みつを大研究」では、鋭い視点で真摯に文体分析、大爆笑を誘う。ひたすら缶詰商品で酒宴を楽しむ「缶詰フルコースの宴」に、もしマッカーサーが買い物籠を下げて日本に降り立ったら……と“鞄と威厳”を見事に論じる「鞄の哀れ」。鹿島茂氏との下ネタ対談「ふれあいたい!」では、昭和平成風俗の変遷を語り合い、必読。ショージ君、漫画とエッセイはいまもバリバリ現役、脱力を旨としながら、冴え渡っています。 文庫解説/井上章一
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アズル
32
解説の小憎らしい文章も、ほほえましかったです。「ルンバを雇う」は恋人が一生懸命読んでいました(恋人は会社では上司の立場)。「そうか、…、あぁ、…」と合いの手まで入れて。高齢の方の恋愛事情は、対談者の方の本を読んでおきたく思いました。2016/01/25
Pー
22
オール読物に掲載された13話のエッセー集。スカイツリーに日本一の座を奪われた東京タワーを慰めに行った訪問記。漬物石の働き方の考察。部下としての活用を目的にロボット掃除機ルンバを買って雇った気持ちで自分の上司力の考察、等々相変わらずの愉快な筆力は健在だった。でも、でもやっぱり東海林さんは「食べ物」のお話が最も楽しい。インスタントラーメンの元祖「チキンラーメン」の話に大きく感動して早速買ってきました。でも、今は暑くって・・・。明治大学の鹿島先生との下ネタ対談(ふれあいたい)も愉快だった。2016/06/28
阿部義彦
18
新刊文庫読んでしまいました。(笑)ショージ君の鞄に関する考察のキャスター付きの鞄に対する視線は、私と全く同じで、これはしたり!と呟きました。あいだみつをのツイッターにも成程ふむふむです。これ程有名なのにちゃんとした評論がなされて無いのが不思議ですね。あと後半の「老人の性」に関する話は参考にさせてもらいます。自慢話は厳禁なり!私もダンス習おうかしら?なんて。2016/01/26
高橋 (犬塚)裕道
10
星4。面白い!ジョージ君はいつ読んでも面白い。それをその方向から見るのか!?えっ!今度はそっちの視点から?!と感心させられっぱなしなのであった。2016/02/07
Masa
10
書店新刊本コーナーで発見、購入。最近、すっかり丸かじりシリーズにも飽きて遠のいていた東海林さだお。久しぶりに読んでみた。頭のふりかけ購入記、納豆は手づかみで、相田みつを大研究、缶詰フルコースの宴等全16編。色々な物を手づかみで食べてみるとまた違った味わいになると言う。今度、僕も納豆を手づかみで食う実験をしたいと思う。アノネ、相変わらず下らない事に大真面目な東海林さんも78歳なんだなあ。「アノネ」と「だなあ」をつけるとどんな文章でも相田みつを風になると言う。暇つぶしにはもってこい、旅のお供にピッタリです笑2016/02/05