内容説明
世界の5人に1人がムスリム(イスラーム教徒)なのに、日本人は誰もイスラームのことを理解していない。
数少ない日本人ムスリムにしてイスラーム政治学の世界的権威である著者が、
イスラームの信仰と生活と文化と思想を、自らの半生とともにイスラームの精髄を語る!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Koning
27
田中によるインタビュー再構成で、存外カジュアルな雰囲気を出しつつ言ってることはやっぱりガチ(笑)。でも色々と目から鱗がぼろぼろ落ちることになるだろうあれこれを述べられているのでその辺はなんだかやっぱり分からないって人が読むにもよろしいんじゃないかと(本当にわかるのか?という気はしなくもないが)。弟子へのインタビューが一番の見所かもしれません。 2015/07/07
nizimasu
10
イスラーム国の問題でクローズアップされた中田さんだが、この本はある種の信仰告白であり、カリフ制の復興を願う氏の主張があますことなく収められている。決して簡単な内容ではないが、イスラム教を以前よりは身近に感じられたのは確か。それに神秘主義やサラフィーなどの流れもかなりわかりやすく書いていて読むと目から鱗の部分が多かった。それにしてもかなりの変わった方みたいなのは間違いないみたいで、こうした人にはイスラムの世界とは寛大でかつ自由に目に映るというのは、実際に入信しないとわからないようだ。ユニークな視点でもある2015/07/14
kenitirokikuti
8
「国士」として振る舞う佐藤優が中田考を危険人物ないし問題人物と見ていたことを思い出した。突き詰めると(いや、突き詰めなくても)、ムスリムは来世が本番なので、また全ては神が決めることなので、この世はどうでもいいことがよく分かる。また、神以外に神はなくムハンマドが神の使徒である、と言ったならばそれで全てであり、キリスト教のように不合理を信じる必要があったり、仏教のように克己して修行しなくてもよい。まぁ、究極のアナーキーだよな。ムスリムになっても特に実利はない、あったとしてもたまたま(インシャー・アッラー)2018/02/03
ヨータン
6
イスラム教になるというと大変なプロセスが待ち受けているんだなと思っていましたが、こんなに簡単になれ、規律も緩いのに驚きでした。日本ではイスラム教に関しては、間違ったイメージばかり先行してしまうけど、しっかりとした知識を持って偏見をなくすことも必要だと思いました。2020/08/31
makimakimasa
6
著者の母は神主の一族だが、特にその影響は無かったという。英語の勉強の為に小学時代から教会に通い、そこで漠然と神への信仰心を持ち、大学で聖書研究会に入る。次第にキリスト教の論理的整合性に疑問を持ち、3年時に新設された東大イスラム学科の第一期生となって、その学年末に21歳で入信。その件、非常にあっさりとしか書かれていない。結局5章のうち4章はイスラム教の「劇薬」的な解説で、一番知りたかった話が浅過ぎる。その解説にしても、今この世で正しいイスラムを実践しているムスリムは自分も含め誰もいないというからびっくりだ。2019/03/11