ハヤカワ文庫SF<br> 偶然世界

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ハヤカワ文庫SF
偶然世界

  • ISBN:9784150102418

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内容説明

九惑星系の最高権力者ヴェリックは、公共的偶然発生装置のランダムな動きにより失脚した。かわって権力の座についた無級者カートライトも、ボトルのくじ引きにより六十億の人々のなかから選ばれる。だが、数時間後、指名大会で選出された刺客がカートライトの命をねらっていた……著者の第一長篇。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

GaGa

48
ディックの第一作で、素晴らしい処女作と評されている作品だが、正直過大評価されている作品だと思う。なぜなら設定の良さはあるが、話しは面白くない。ただ、こういった発想からディックがスタートし、後につながる傑作を誕生させたとすると、これはこれで記念碑的作品なのだろう。2013/01/10

催涙雨

36
記念すべきディックのSF処女長編。この時点では終生のテーマにあたるものはまだその萌芽がちらりと見える程度に過ぎず、あまりスリップストリーム的な作風にはなっていない。虚実的な意味合いでのテーマ性は薄いが、入れ子構造的な人格をもつ人造人間のキース・ペリグの仕組みや後の作品でもお目にかかるティープなどの造語・用語、信用できる他人の少ない世界観など、二次的な面でその独創性が表舞台に立った瞬間をうかがうことはできる。意外な点はボトル(公共的偶然発生装置)に依存することによって発生する欠陥や歪みなど、社会構造が生む異2018/08/13

おうつき

21
ディックを読むのは初めて。序盤はどういう世界観なのかあまりピンと来ず、読み進めるのに苦労した。なんでそうなるのかという細かい疑問は考えないようにして勢いで読んでいくようにしたらそれなりに楽しめた。第一長編だからという理由で本作を手にとったのだが、素直に後々の有名作から読んでいけばよかったかなと後悔。書かれた時代も考慮すると中々ぶっ飛んだ作品。2022/11/02

阿部義彦

20
ディックの初めての長編だそうです。なんか普通の小説として読めて、ディック本来のトリップ感はまだ微塵も感じられませんでした。本当にディックが書いたの?というのが正直な感想です。登場する女性もまだステレオタイプで、一癖も二癖もある本来のディックタイプの女性では無いのねー。むう。ディックの小説は私にとって読むドラッグなのでそちらの酩酊感にも全然こたえてなくて、まあディックも駆け出しの頃はこの程度だったのかなあ?なんて、通俗アクションSFって感じで売れはしたそうです。ディックを初めて読む人はこれは避けるべきです。2016/06/04

かもすぱ

10
PKD6冊目。世界の最高権力者、その名もクイズマスターがくじ引きで決まり、そしてクイズマスターの命と権力を手に入れるべく"刺客"が忍び寄る。どこかTVショーめいた世界。一方的に思考盗聴できるマスター防衛集団に対して、対思考盗聴用人工多重人格ヒューマノイドなんてアイデアや駆け引きも面白い。あとディストピア感のある官僚階級社会。基本はクイズマスターと刺客の話なんだけど、第十惑星の話が思い出したように出てきて、最後に取ってつけたような畳み方したのはなんだったんだろう...。あと訳は違和感のある箇所がいくつか。2021/04/29

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