内容説明
信じた男に裏切られ、新吉原の遊郭に売られたおぬい。それまでの生き方すべてを否定され、踏みにじられ汚されながらも、いつしか娼妓として女として大輪の花を咲かせていく『七夕の客』他。女と男の切なくも妖しい物語が連なる、江戸市井情話7編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
35
7編からなる色町話中心の短編集。『浮舟』のやきもち焼きの一人娘が可愛い。小間物屋は女客中心なので絵に描いたような二枚目で優男の旦那(元手代)が優しく接客する様子にまで悋気してしまう自分を抑えられない。やむなく旦那を吉原へと送り出したものの心配で「遊離魂」になって旦那の廓遊びを見届ける。普通ならドロドロ感のある状況なのに、こんなに可愛く描ける作者は素晴らしい。この『浮舟』と『案山子の三佐』が好きだ。2019/06/21
あおい
3
図書館本。全七話短編遊郭の娼妓の噺、細部まで書き込んであって読み応えがある。廓噺には妖しさも哀しさも漂うが、寂しいオチだとしょぼんとなるのでしんみりしない第三話の「浮舟」が好き。店のイケてる手代を無理くり婿にした大店のおへちゃなお嬢が内儀として仕方なく若旦那を郭遊びに出す際気をもみ離魂してまで様子見するベタぼれの様が面白おかしい。最後には妾も芸者もお店の得意客とそれなりに貫禄もついた内儀の様子に若旦那がちょっと嫉妬するところがくすりと笑え、終わりよし(_ _)2019/04/13
いつみ
3
うまいなあ。初めての作家さんだけど、一気に読了。吉原での様子が目に浮かんでくるようで、華やかであればあるほど不憫な、でも一途な話ばかり。案山子さんの話がじんわりきて泣けた。この作家さんの作品はもっと読みたい。2014/06/15
renren
1
吉原を舞台の短編集。「遊郭のはなし」では怪談仕立ての仕掛けに気をとられて気づかなかったが,この人女性の人物描写がもんのすごく上手で説得力があります。娼売をしていても,いやするからこその女の意地,わかっていてもしてしまう嫉妬,したたかさ,涙に怨念。同じようにどうしようもなく翻弄されながら生きていても,この人の作品では男性よりも女性の心情が活き活きとして切なく胸に迫る。女性作家ならではなのか。他の作品も読みたい。2010/09/13
あにこ
1
非常に面白い。全七話の連作っぽい短篇集。不思議要素強めなものもあるが、“吉原”という、いわば別世界の現実を詳細かつ分かりやすく書き出している。話ごとにスポットライトのあたる者が変わる――花魁、新造、油さし、幇間、地回り、等――ため、読者は飽きずに、いつのまにやらどっぷりと世界観に浸かっている。歴史小説は苦手な私だが、普通に楽しかった。もっと高評価されるべき良作(既に絶版したか)。2010/06/05
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