内容説明
江戸時代から続く質屋・結城屋で祖母と二人暮らしの円は、美術学部に通う少しおせっかいな女子大生。結城屋の女性には代々不思議な力があり、円にも物に刻まれた記憶(メモリー)を感じることができる能力があった。ある日、質草のネックレスから不穏な記憶を感じ取った円は、持ち主の女性の家へ駆けつけるが……。「記憶」をヒントに事件の真相を解き明かす、感動の連作ミステリー。『てのひらの記憶』を改題。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えりこんぐ🐤
63
表紙のイメージよりも重い話で、なかなか面白かった。老舗の質店「結城屋」を営むおばばと女子大生円(まどか)。物の記憶を読み取る能力がある円は、次々と事件に首を突っ込み危なっかしい。メインキャラの明るさに比べ、関わった事件は人間の嫌な部分がザクザク出てくるものばかり。水生作品はこのあたりが好きだな〜。アプリまで作れちゃうおばばがかっこよすぎる。2017/10/29
yukision
53
物に刻まれたメモリーを感じる能力を持っている設定は新鮮というほどでもないが、一話一話解決したように見えながら、事件の全容は実は最後まで分からないという連作短編形式でまずまず楽しめた。ただ、ミステリーのパターンが自分に刻まれすぎて、論理的な根拠もなく犯人の目星がついてしまった。2021/07/04
だんじろー
46
文庫化に際して、改題されたのですね。原題のままで良かったのに。単行本、売れ行き悪かったのでしょうか。ラノベ調の表紙に騙された読者が大勢いたのではないかと心配です。似たようなネタを扱った作品は他にもあるようですが、自分にとっては大変面白く読ませていただきました。内容そのものについては満足なのですが、相変わらず会話文の発信者が分かりにくいです。3人以上の場面は、油断してると誰が誰やら混乱します。2017/05/06
coco夏ko10角
26
日常の謎系かと思ってたからちょっとびっくり。主人公の感じによっては大分暗い話になったかも、この性格に理由があるのがよかった。ITに強いおばばかっこいい。2017/06/01
マッちゃま
23
品物の残る思念が見えてしまう質屋の娘 円。そんな彼女が 見た思念から巻き起こるファンタジィーな連作短編集。なんかこう書くと柔らかでほのぼのみたいな感じかと思いきや意外とダークな部分が曝け出されて行く結末で、ちょいとビックリでした。連作なだけに小さな謎解きから幕間で語られていく大きな謎まで繋がっていき、ラストでスッキリでした。軽そうに見えて軽いだけじゃない内容は、このレーベルっぽいなぁ〜と感じました。2018/07/14