内容説明
愛猫喪失から立ち直っていく男女を描く物語。
「もしもあなたが誰かを本気で愛したら、行き着く先には悲しみがある。悲しみ以外のものはない。なぜならあなたの愛した者は死ぬ。それでも誰かを夢中で愛したあなたは救われる。私にそのことを教えてくれたのは、一匹の猫だった……」(プロローグより)
著者自身の、愛猫との別れの体験をもとに、喪失から再生、そして、小さな生き物たちを愛することの素晴らしさをとことん掘り下げた物語。猫を描かせたら右に出る者はいない小手鞠るいの、作家生活の集大成となる渾身の小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
miww
75
最初の章の別れの瞬間、昨日までできていた事が今日できなくなり日々弱っていく愛猫を見守る場面は辛くて泣ける。「もしもあなたが誰かを本気で愛したら、行き着く先には悲しみがある。悲しみ以外のものはない。待ち受けているのは、悲しみだけだ。なぜなら、あなたの愛したものは死ぬ。必ず別れの時がやってくる…」それでも失う悲しみに値する幸せを与えてくれると思っています。姉弟愛、夫婦愛、そして猫好きでない人からすれば異常と思われそうな猫への愛情に深く共感した。2016/05/16
佐島楓
56
だめだわ、これ。泣いちゃって、読めません。猫の物語だけど、動物を家族としている方ならわかっていただけるはず。いつか必ず、別れのその日が来てしまう。だからこそ、後悔のないようにしていたい。2016/03/26
との@恥をかいて気分すっきり。
33
猫愛に生きる小手毬さんの作品。猫を愛するあまりに、猫の死に打ちひしがれ命を削るように生きる場面が辛い。ここに登場する人間たちも、猫のように孤独に気高く、自律して生きていこうとする。そのたんたんとあっさりとした描写が事を湿っぽく深刻に感じさせないのが良い。2016/01/23
yu
31
Kindleにて読了。 ネコによってつながっていく姉弟の絆、夫婦の絆。 よくも悪くも、この手のお話しは何だかんだお涙頂戴になることは想像つくため、それほどでもなかったかな。2016/05/05
かこりむ
22
猫好き夫婦を軸にした、連作短編集。必ず自分よりも先に死んでしまうから動物は飼わないという考えに一理あるな、と思っていた。でも、この物語には、その先には失う悲しみしかないとしても、人や猫を愛さずにはいられなかった人たちの姿が綴られており、臆病なままでいるよりも、一歩前に踏み出したい気持ちになった。2016/05/22
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