内容説明
婦人服の仕立て屋の主として働きづめだったモダンな母。発明を夢みて役に立たない新製品を次々作り出す父。たのもしい兄、気丈な姉、かわいい妹。そして、僕は原っぱ、ザリガニ、お化け屋敷に夢中の多感な少年だった。やがて時は移り、沢野家におとずれた喜びそして哀しみ――。貧しくとものどかだった昭和30年代の時代の風景と少年の心のひだを描いたみずみずしい東京物語。著者の原点である代表的名作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nemuro
10
市立富良野図書館から借りた一冊。巻末に「本書の単行本は1986年9月、本の雑誌社より刊行されました」とあって、奥付を見ると「平成8年1月25日 初版発行」。富良野以前にも各地の図書館で何度か借りたことのある沢野ひとしの本。おそらく読了できたのは初めて。「貧しくとものどかだった昭和30年代の時代の風景と少年の心のひだを描いたみずみずしい東京物語」とのこと。『本の雑誌』などのイラストでお馴染みの沢野ひとし。林真理子氏の「解説」にあるとおり「永遠少年沢野ひとしの原点が詰め込まれている」本書は、実に面白かった。2019/04/21
タツキ
1
人のプライバシーを知るのはドキドキします。ネット関係の人も知らないことがわかったりするとワクワクします。ぼく自身あまり正体明かさないからよくわかります。著者は自分の過ぎ去った過去、自分でもそっと閉じ込めて触れたくない過去。それについては書いていないと述べています。つまりほぼ事実を書いているだろうとわかります。この作品で両親、父となった子供への思いを彼流に感謝と愛情を伝えているのでしょう。タイトル直後に「父と母へー。」なんてなかなか書けません。2012/05/26
からしれんこん
1
いい時代に生きてきたなあと思わせてくれる内容。椎名誠の話がほとんど出てこんのにもびっくりした。マイペースでちょっとKYな人物やと思ってたが、なかなかな苦労もしてきてるんやなと。2010/01/01