内容説明
明治・大正期の作家たちの描いた「山怪」作品を斯界の雄・東雅夫の選で集成。
山の裏側を垣間見るかつてないアンソロジー。
われわれ日本人にとって、最も身近な「異界」である山々は、山神や山人、鬼や天狗、狐狸や木精といった魑魅魍魎のふるさとであると同時に、
日本の怪談文芸や幻想文学の豊饒なるふるさと、原風景でもある。
近代の文豪から現代の人気作家まで。
数多くの作家が、深山幽谷を舞台とする神秘と怪異の物語を手がけてきた。
本書は、山を愛し読書を愛する人々にとって必読の名作佳品を集大成した史上初のアンソロジー企画。
収録作品:
火野葦平「千軒岳にて」
田中貢太郎「山の怪」
岡本綺堂「くろん坊」
宮沢賢治「河原坊」
本堂平四郎「虚空に嘲るもの 秋葉長光」
菊池寛「百鬼夜行」
村山槐多「鉄の童子」
平山蘆江「鈴鹿峠の雨」
泉鏡花「薬草取」
太宰治「魚服記」
中勘助「夢の日記から」
柳田國男「山人外伝資料」
編者解説(東雅夫)
ほか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
65
文豪たちが山を舞台として描き出した数々の奇談。古典的な怪談から夢の中を彷徨うようなものまで何でもあり。有名作品が多く三分の二は既読であったが、いいものはやはり何度読み返してもいいものだ。面白く読めたのは柳田國男「山人外伝資料」や美しい文体に酔う鏡花「薬草取」、幻視を描いた宮沢賢治「河原坊」といった所。他にも神話を思い起こさせるような火野葦平「千軒岳にて」やストーリーテラーの面目躍如な岡本綺堂「くろん坊」もまた巻を置くことあたわず。山が異界であるという事を、華麗な文と共に思い出させてくれる一冊であった。2016/02/07
そうたそ
36
★★☆☆☆ 山をテーマとした文豪たちの怪談作品を収めたアンソロジー。出版社が山と渓谷社というのもなるほど、という感じ。これをホラーアンソロジーと思って読むと、なかなかの肩透かしを喰らうのではないかと思う。「広義の怪談」というイメージで読むほうがいいかも。作家陣も知っている人と知らない人が半々。宮沢賢治、太宰治、岡本綺堂あたりの有名どころはやはり楽しく読めたものの、半分ほどはしっくりくるようなものではなく、結果としては自分の期待していた内容とは違ったというのが正直な所。着眼点が面白いアンソロジーではあるが。2016/02/21
深青
29
文豪達が描いた山にまつわる怪奇なお話を集めたアンソロジー。読んだことがない人が多かったので、面白く興味深く読みました。怪談というよりも山に対する畏敬の念を、山の不思議で怪奇な1面を描いた小説が多かったかなと。ちいとばかし読みにくいと思うものもあったり文字を追うので精一杯だったり……というものもありました。そういうのも含めて面白かったです。これを機会にここで出会った文豪の他の作品も読んでみようと思います。2016/03/07
YO)))
21
村山槐多の極めて絵画的な幻想譚「鉄の童子」、優しい鏡花の「薬草取」、柳田國男の山人論「山人外伝資料」など。 山を題材にしたものというだけで、形式・出来にかなりバラツキがあるが、それなりに楽しく読めた。 太宰の「魚服記」は澁澤龍彦編「変身のロマン」にも入っている。2019/10/03
ひなきち
20
古文を真面目に勉強しておけば良かったな(・・;)行き(前半)はよいよい、帰り(後半)は難解…でぐるぐるループでしたが、やっと読了しました。ラストを飾るのは民俗学の父、柳田先生。先見の明で、山人について考察しています。私が特に印象に残ったのは、火野葦平、岡本綺堂、泉鏡花、太宰治でした。土に根をはるサツマイモのごとく、ずるずると掘り出しものの読みたい作家、作品が増えました。日本の言葉の美しさ、山の豊かさ、そして山怪の文化を絶やしてはならない、と改めて思いました。2016/04/13
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