内容説明
アインシュタイン以来約100年,137億年という宇宙の歴史が明らかになってきた.その研究史は逆転につぐ逆転の連続で,現在は暗黒エネルギーの支配という深く謎めいた状況にある.はたして謎は解けるのか? 日本を代表する研究者が理論と観測の最前線を展望し,宇宙と人類のはるかな未来を考察する.
目次
目 次
プロローグ ビッグクランチからの脱出
第1章 宇宙論の始まり
1 アインシュタインの宇宙
2 膨張宇宙の発見
3 ビッグバン理論の確立
4 宇宙の始まり
第2章 素粒子と宇宙──インフレーションという鍵
1 力の統一理論と宇宙
2 真空の相転移と力の分岐
3 インフレーション──初期宇宙の急膨張
4 ミクロのゆらぎからの誕生──量子宇宙
5 高次元空間に浮かぶ膜──ブレーン宇宙
第3章 見えてきた宇宙の歴史
1 宇宙の見えない主役──暗黒物質
2 宇宙の本当の主役──暗黒エネルギー
3 現在は第二のインフレーションか
4 精密に測定された火の玉宇宙
5 宇宙の謎は解けたのか?
第4章 宇宙の未来
1 加速膨張を続ける宇宙
2 暗黒エネルギーの消えた宇宙
3 ビッグクランチと宇宙の終焉
第5章 マルチバースと生命
1 宇宙が無数に生まれる
2 なぜ「この宇宙」なのか?
3 宇宙における生命
あとがき
参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
i-miya
15
2010.02.19 (副題)誕生から未来へ(現職)東京大学大学院理学系研究科教授。1945生まれ(1968京都大学物理学科卒業)(あとがき) 137億年前。2008 ノーベル物理学賞、南部陽一郎「対称性の自発的破れの仕組みの発見」真空が相移転を起こすために素粒子が質量を持つのだ、という理論。真空の相移転によって誕生した宇宙が急激に膨張して(インフレーション)火の玉宇宙(ビッグバン)を引き起こした。現代の宇宙論のパラダイムを生む切っ掛け。2010/02/21
壱萬参仟縁
14
ビッグバンは1946年、ジョージ・ガモフが提起した(12頁)。ビッグバンはホイルの発明。アインシュタインが元となっているようだ。力の進化の図では、宇宙時刻でGeV(ギガ電子ボルト)は1GeV≒10の13乗(10兆)度(66頁)という気の遠くなるようなスケールの一端を垣間見れた。プランク時間という10マイナス44乗は重力定数、プランク定数、光の速さから表記される(67頁)。インフレーションという概念が経済以外にも宇宙論で解明されているのは驚きである。膨張したり収縮したりと、どんな世界でもダイナミックだ。2013/05/25
里馬
14
なんだか贅沢な一冊。時間も空間もエネルギーも論じられる規模が厖大だ。人間も所詮は井蛙だなぁ。さて!次はS.シンの『宇宙創成』だ☆2009/05/20
おりん
11
物理分野に関しては門外漢だが、反重力に興味を持ち、そこから重力子、超ひも理論と広がっていた中で、宇宙論全般について広く浅く見たいと思い読んだ。なので深い知識は無しで読めると思う。これまで得た断片的な知識をつなぎ合わせ、体系的な理解が進んだ気がする。宇宙の曲率や超伝導、宇宙背景放射、陽子の寿命などの新たな知識も得られた。印象的なのはマルチバースの中の壺型宇宙の話と、宇宙の行末の話と、人間原理と、スモーリンの宇宙進化論。また、著者の宇宙観や思想にも共感できる部分があり、面白かった。2017/02/26
白義
9
入門書ですが内容は極めて高度。あらかじめ同じ佐藤さんの入門書数冊は読んだ方がわかりやすいかもしれません。宇宙の始まりから未来まで、今の宇宙物理学で語れるところを余すとこなく語っていてその宇宙像が魅力的。最初のSFっぽい導入と繋がる、マルチバース理論により宇宙を創ってそこに逃げるだの、イメージするだけでものすごい。インフレーション宇宙論からブレーン宇宙論まで、パッと見はあり得ないようなモデルですが、観測結果と合って証明されているものもあり、今後の宇宙論の進展が楽しみになりますね。統一理論誕生はいつか2011/07/26
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