内容説明
推理小説マニアの大学生・曳間が、密室で殺害された。しかも仲間が書いている小説の予言通りに。現実と虚構の狭間に出現する5つの《さかさまの密室》とは? 78年、弱冠22歳の青年によって書かれたこの処女作は「新本格の原点」、「第4の奇書」と呼ばれる伝説の書となった。いまだ色褪せない未体験の読書を今こそ! 幻のサイドストーリー『匳(こばこ)の中の失楽』も収録!
目次
序章に代わる四つの光景
一章
二章
三章
四章
五章
終章に代わる四つの光景
サイドストーリー 匳の中の失楽
文庫新装版あとがき
解 説 松山俊太郎
蛇足のようなもの 乾くるみ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
341
中学時代、どうしても読みたいがどこにも売っておらず、かなり探して最終的にダイエーだかの書店にたまたま置いてあるのを発見した、とても思い入れのある作品。読むのはたしか三度目になる。奇数章と偶数章での入れ子構造や、ふんだんに散りばめられた衒学嗜好は、奇書と呼ばれるに相応しい倒錯感をもたらすものであるが、奇数章を現実と認識して、ストリートにミステリとして読むと、謎解きパートはかなり物足りなく、コレだけ引っ張ってこんなオチ?と肩透かし。壮大な構想と幼稚な手法がごちゃ混ぜになった、なんとも不思議な読み心地の一冊。2021/03/23
HANA
56
三大奇書に続く奇書四冊目。なんとなくミステリの奇書には過剰なものが含まれているように思う。過剰な狂気、過剰な装飾、過剰な推理……本書は過剰な自己言及性と言ったところか。ミステリが作中でその在り方に言及するのは今日珍しくないが、本書が発表された当時は類を見ないものだったのだろうなあ。トリック自体はお寒いものであったけれども。読んでいて思ったのは黒死館足す虚無といった印象。ただペダントリーは関係ない所でたまに触れられるくらいで、あのように眩暈がする事はなかった。ミステリ以外の部分を読むのが正しい読み方かな。2016/04/23
geshi
39
やはり自分は根本的にアンチミステリとは相性悪い。現実と虚構を隔てる膜が侵食されていく構造によって、物語の外側にいる読者でさえも揺るがされる感覚は理解できる。詰め込まれたペダンティズムの熱量も伝わる。それでも面白いとはどうしても思えないのは、いかんともし難い。新本格を生み出し、更にミステリジャンルを崩す作品群へ影響を与えた先見性は評価に値する。2~3回読んでいるが、正直、何度読んでもこの作品をちゃんと分かるようにはなれないだろうな。2016/01/18
ソラ
30
第四の奇書とかいろいろ伝説的な扱いをされてる作品ということなので、普段こんな分厚い小説を読むのは気が進まないのだけれど(京極夏彦は除く)読んでみた。行きつ戻りつというか、作品内現実と作品内作品小説なのかもうごっちゃになりながら、何となく雰囲気はつかめたけどこれはどうなんだろうと自分の中でもよくわからない読後感。うーん…2016/11/23
ちくわ
26
面白かったです!作中作がある作品はいい。今回も作中内現実と作中内小説の間をさ迷い狂いそうな感覚を得ることが出来ました。ただもう1つ反転が欲しいところ。と、ここまで言いましたが実はあまり理解できていない場所も多く一度読んだだけでは足りないです。しかも色々解釈できそうなので何度でも読んで楽しむことができそうです。素人探偵による衒学的推理とそれらしい推理とその度の否定。虚無への供物を思いだしました。間違いなく奇書です。2016/07/28
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