内容説明
各界一流のプロの半生をインタビューで解き明かす人物ドキュメント、NHKBSで放送中の番組「100年インタビュー」の単行本化第2弾。今回は、日本を代表する作家・劇作家で、昨年(2010年)4月9日に肺がんのため亡くなった井上ひさしさんのインタビューをもとにまとめた。5歳で父と死別、児童養護施設に預けられ、施設から高校に通学。上智大学に進学したが、東北なまりの悩みから吃音になり、釜石で働いていた母の元へ。製鉄所や漁業で沸く釜石は、母がいて、劇場もあって居心地がよかったと懐かしむ。たくましく働く母のつてで、図書館でアルバイトしたことがきっかけで文学のよさに気づき、作家を志して再び上京。浅草の劇場のコントを書いたり、ドラマの脚本の懸賞で稼いで大学の寮費をまかなった。その後、小説・戯曲で活躍し、1984年に劇団「こまつ座」を旗揚げする。創作の原点と若い世代に伝えたいことを、ユーモアいっぱいに語る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マエダ
82
努力や才能といったところもさることながら、諦めと見極めが潔く他者との違いではないかと思う。1日に30冊くらいの本を読み、時には映画を1日6本みるといったストイックさというか打ち込める力というか脱帽である。2017/08/29
寛生
63
【図書館】蔵書が二十万冊あまりになるらしい。「確かに、一日三十冊くらいのペースで本を読んでいますので・・」という。これだけの量を読みこなすことも職人的な訓練の一つらしい。文学は生きる力が湧くようなものを読者に与えることではないかと井上がいう。恐ろしさ、悲しさ、わびしさ、寂しさ、苦しさは人間の存在自体にすでに備わっているようなものだが、笑いだけは、その「人が外と関わって作らないと生まれないもの」だといっているのも印象的。「悲しい運命を忘れさせるような」抵抗できるような笑いをつくりたいという彼は本当に人間的。2015/02/23
けんとまん1007
58
作家では、この方が一番好きだ。何よりも、言葉に対しての真摯な姿勢が素晴らしい。だからこそ、言葉にこだわり、言葉の力を信じ、発信する。まさに、生きざまが現れている。借り物でなく、自分の言葉で・・・これが、難しいのだが。2021/07/16
里季
47
さすが。文章は平易で読みやすく、決して長くもないのに言いたいことが心に突き刺さる。この本の題名は、以前から知っていて、いつか読みたかったが、人生半ばをとうにすぎ、ガンと言う病がきっかけで読むことになった。ご縁に感謝。「頑張れば光は見えてくる」「明日命が終わるにしても今日やることはある」病院図書室で借りる。2015/11/19
kinkin
39
井上ひさしさんらしい、易しい言葉でわかりやすく書かれているのでとても読みやすかった。「情報をどんどんとりいれて知識になり知識を集めて知恵を作っていく、どんな仕事もきっと同じはず」という言葉が印象に残った。 また「本とは人間がたどりついた最高の装置だと思う」。読書好きの私にとって何より励まされた言葉だ。2014/06/06
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