ハヤカワ文庫SF<br> 中継ステーション〔新訳版〕

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ハヤカワ文庫SF
中継ステーション〔新訳版〕

  • ISBN:9784150120450

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内容説明

アメリカ中西部、ウィスコンシン州の片田舎にある一軒家――ごくふつうの農家にしか見えないその建物は、じつは銀河の星々を結ぶ中継ステーションだった。その農家で孤独に暮らす、元北軍兵士のイーノック・ウォレスは百年のあいだステーション管理人を務めてきたが、その存在を怪しむCIAが調査を開始していた……異星人たちが地球に来訪していると知っているただひとりの男の驚くべき日々を描く、ヒューゴー賞受賞作

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

MICK KICHI

107
良質なSFは精神の保養になります。1963年に発表された、<田園風><牧歌的>なカントリーサイドの舞台設定を得意とする、シマックのヒューゴー賞受賞作品。銀河連盟の宇宙間旅行を極めて独創的な方法で行う種族たちに、地球の中継ステーションを管理する事を任命された1人の男の物語。ステーション内では時間の経過が止まる為、不老の身で19世紀から管理人として職務を続けてきた彼は、存在を隠す様に秘密を守ってきたが、不審を抱いたCIA情報員が身辺調査を始めた..。SF的アイデアと冷戦時の緊張した背景が秀逸に絡まる名作。2019/01/29

ゆかーん

71
かなり興奮しながら読んだ一冊! ヒューゴ賞受賞作ということもあり、SF好きにはオススメです!主人公は、124歳にも関わらず見た目は30代という謎の男イーノック。彼は人々との接触を拒み、祖父の建てた小屋で静かに生活していました。しかし彼には秘密が⁉︎なんと、様々な星と通信をするステーションの管理人だったのです!地球にやってくる異星人と仲良く交流するイーノックでしたが、些細な事件が引き金となり、地球と銀河同盟との戦いが始まってしまいます!彼は地球を守る事ができるのか?最後まで気の抜けない展開にハラハラでした。2016/07/10

催涙雨

61
舞台はウィスコンシンの片田舎、それもほとんどひとつの家屋。大きすぎる宇宙の営みは、地球の片隅に暮らす一人の人物とともに静かに静かに語られる。人間も宇宙の生物たちも、利己的な考え方から過ちを犯し何かを決定的に失いかねないという、根源的で非常に朧気で、そしてタリスマンのような奇跡が起こらない限りどうすることもできない性とともに歩いている。厳しくもあり、あるいは優しくあるいは寂しくもある、含意に富んだロマンチックな作品だった。心理・風景問わずため息がでるような表現の豊かさにはどことなく郷愁を含むわびしさがある。2019/08/27

ざるこ

44
アメリカ片田舎の一軒家が実は銀河の星々と繋がっている地球上で唯一のステーションであるという。単純思考の私はロマンがありすぎて胸躍るんだが、管理人であるイーノックの孤独に触れて意気消沈。誰にも言えない秘密を抱える重圧は半端ない。武骨で真面目で、ステーション閉鎖の危機を迎えても常に人類側に立つイーノックの心情には感心してしまう。時にネガティブが過ぎてクドく感じるけど大宇宙との交流だもの、苦悩は計り知れない。ハラハラする事件はあれど最後まで牧歌的な優しい雰囲気。コーヒー好きの異星人ユリシーズとの友情が素敵!2023/03/06

こら

43
初シマックでした。なるほど、「田園的・「叙情的」とはこういう事なのか。派手な展開はなく、楽観的であったりご都合主義の部分もあります。だけど、決してこれは瑕疵じゃありません。通常悪役とされがちなキャラに対しても作者は限りない愛情を注ぎ、人類の未来にも輝くべき希望を提示します。主人公の孤独と、荒々しくも豊かな自然描写があるからこそ、愛や未来像がより素晴らしいものとなる。おだやかに進むが、明日はきっと悪くないよね、と肩をぽんと叩いてくれるような物語。2016/02/11

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