内容説明
当たり屋、強請りはお手のもの。あくどい仕事で生計を立てる岡田と溝口。ある日、岡田が先輩の溝口に足を洗いたいと打ち明けたところ、条件として“適当な携帯電話の相手と友達になること”を提示される。デタラメな番号で繋がった相手は離婚寸前の男。かくして岡田は解散間際の一家と共にドライブをすることに――。その出会いは偶然か、必然か。裏切りと友情で結ばれる裏稼業コンビの物語。
目次
第一章 残り全部バケーション
第二章 タキオン作戦
第三章 検問
第四章 小さな兵隊
第五章 飛べても8分
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
870
両端を比較的しっかりした構成の作品で固め、中の3つは緩やかなつながりを持った連作短編集。いずれも、絶対にないかとは言えないものの、およそ起こりそうもない設定の物語群。エンターテインメントに徹していて、作家自身も大いに楽しんで書いていたのではないだろうか。また、いずれの物語もエンディングには余韻を残す工夫がなされている。あえて1作を採るなら、表題作の「残り全部バケーション」、荒唐無稽な面白さでは「タキオン作戦」か。2018/04/14
ehirano1
662
伊坂さんの作品だから、この辺はきっと“伏線”だろうな、と思って読み進めるもなんだか違うような気がしたかと思ったらそうでもなかったりそうであったりと散々踊らされた挙句最後にやっぱりやられるという始末・・・・・しかし相変わらず読んでいて楽しいですね。2017/07/15
射手座の天使あきちゃん
592
「問題児」に「答え児」、「飛んでも8分、歩いて10分」、「残り全部バケーション」なんて言葉選びのセンス もうサイコー!(笑) 伏線回収は流石の貫禄だし「伊坂幸太郎」なーんも言うこと無しですね!! (^_^)v さいごのメール焼肉屋のメルマガだと笑っちゃいますけどね <(^_^;2016/03/25
やな
430
完全にやられた。程よい読後感でした。2016/02/13
fukumasagami
330
「岡田さん、何してる人?」 「さっきもお父さんに訊かれたけど、今日、仕事をやめたばかりなんだ」 「無職?」 「そう」 「駄目じゃん」 「駄目じゃないよ。明日から、もう俺の人生、残り全部、バケーションみたいなものだし。バカンスだ」 「意味分かんないだけど」早川沙希はきょとんとしていたが、そこでようやく俺を見上げるようにし、「バケーションってのはいいね」とにっと笑った。「わたしもそうしようかな、残り全部バケーション」 悩んだ末に、俺は正直に言った。「百年早えよ」 2016/08/01