内容説明
本書の第一章では、国際秩序への挑戦として紛争をとらえることを論じた。第二章は、東アジアの現状を勢力均衡の理論的視座を用いて分析。第三章は地政学の観点から欧州に焦点をあてた。第四章は中東情勢と文明の衝突という考えかたをぶつけ、第五章は格差社会としての国際社会の問題として、アフリカを世界システム論などを手がかりに論じた。第六章はアメリカの対外的な軍事行動の背景に、「成長信仰」の観点から迫った。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
36
大学の国際関係論の講義の教科書みたい笑。とはいえ、国際紛争を理論から分析する手法は意外と新鮮。フクヤマの「歴史の終わり」、モーゲンソーの勢力均衡、マッキンダーの地政学、ハンチントンの文明の衝突、ウォーラーステインの世界システム論。最後はローマクラブの「成長の限界」。どの理論が1番ということはなく、それぞれ長所と短所がある。イデオロギー、宗教、地理的条件などなど、世界を読み解くには、複合的な視座が大切だと改めて認識しました。そうそう、モンロー主義を孤立主義とするのは誤解というのは初耳でした。2017/09/30
金吾
25
それぞれがよく言われている視点ですが、それをまとめて簡潔に説明しているのでわかりやすいです。昔ながらの「勢力均衡」「地政学」「文明の衝突」が面白かったです。2025/06/22
吟遊
11
紛争にかぎらず、国際情勢、ないし国際政治のダイナミズムや回顧される歴史(法則性がないように見えることが多い)を、理論的な視座から見直す。こういう本はなかなかないように思う。国際ニュースを背景含めて読み解いて整理するのは、とても難しいから、役立つ。硬派な学術で情緒を廃した(ヒューマニスティックですらない)本だけど、そこがいいのかも!2017/06/09
中島直人
8
(図書館)「勢力均衡」、「地政学」、「文明の衝突」、「世界システム論」、「成長の限界」の五つの視点から世界の紛争を読みとく。一つ上の視点から、世界情勢を見極める、解釈する視点が得られる。知的な刺激が得られる面白い本。2018/09/16
とある本棚
5
勢力均衡、地政学、文明の衝突、世界システム論など所謂一昔前の理論を扱っているが、各理論の限界と今なお有用な部分を的確に指摘している。ポリサイではグランドセオリーが敬遠される傾向にあるが、各国の指導者や外交当局者は今なおグランドセオリーを念頭に意思決定をしているかのように思われる節があり、国際情勢を解像度高く把握するためには、本書のような定性的な理論も必要であろう。特に地政学の章は、現在進行形のウクライナ戦争を理解する上でも有用であると思われる。2022/04/03