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内容説明
女性の「活用」が叫ばれて久しいのに、日本の女性はなぜ「活躍」できないのか?
社会進出における男女格差を示す「ジェンダーギャップ指数2015」では、
日本は145カ国中101位という低い数字。その理由は雇用システムの違いにある。
ジョブ(職務)=スキル(技能)に対して賃金を払う〈ジョブ型社会〉の欧米諸国と違い、
日本社会では「社員」という名のメンバーを「入社」させ、定年退職までの長期間、
どんな異動にも耐え、遠方への転勤も喜んで受ける「能力」と、企業へ忠誠を尽くす
「態度」の積み重ねが査定基準になりがちだ。
このような〈メンバーシップ型社会〉のもとでは、仕事がいくら出来ようとも、
育児や出産の「リスク」を抱える女性は重要な業務から遠ざけられてきた。
なぜそんな雇用になったのか――その答えは日本型雇用の歴史にある。
本書では、豊富な史料をもとに、当時の企業側、働く女子たち双方の肉声を多数紹介。
歴史の中にこそ女子の働きづらさの本質があった! 老若男女必読の一冊。
本書の構成
序章 日本の女性はなぜ「活躍」できないのか?
第1章 女子という身分
第2章 女房子供を養う賃金
第3章 日本型男女平等のねじれ
第4章 均等世代から育休世代へ
終章 日本型雇用と女子の運命
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
GAKU
56
なぜ日本の女性は労働社会において「活躍」出来ないのか?他の著書でも作者は述べているように、日本の雇用の多くの問題点は「メンバーシップ型労働社会」にある。そして女性が活躍出来ない要因もそこにある。製糸場の女工さんから戦争時の勤労動員、職業婦人、BG、OL、総合職と、働く女性の歴史を追うと共に、男性中心に成功してきた日本型雇用の問題点を探っています。某大手銀行が戦前当時は、女性28歳定年制という話には驚いた。⇒2018/11/05
ヒデミン@もも
52
働く女性の歴史を女工時代からOLそして男女雇用機会均等法を経て、マミートラックまでわかりやすく説明。読み友さんに働く女性の運命はどうなるのか?と聞かれたけれど、残念ながらその答えは載ってませんでした。しかし日本型雇用も崩れ始め男女平等の目からみたら、よくぞここまできたなって感じ。これからは女性の問題だけではなく、男女が同じ目線で考えていかなければね。それはこの本のあとがきにも触れらているが、派遣や非正規雇用の問題が女性だけの問題ではなくなっているという辛い現実がある。2016/05/16
おかむら
37
富岡製糸場時代から現代までの女性の雇用史。見下されの歴史でした。「28歳定年制」とか「結婚したら自発的に退職する」旨の念書とか。ひえー。そんな時代があったのか。 諸外国と比べて日本の雇用制度が独特なのもよくわかった。日本のお給料って「女房子どもを食わす額」ってのが基本なのね。そもそもからシステムや観念を変えないと変わって行けないのか…。だって今でも政府や経済界や会社のお偉いさんは働く女性のことを相変わらず職場の「女の子」って思ってんだろーからなー。2017/06/18
Miyoshi Hirotaka
32
男は家を作り、女は家庭を作る。伝統的なワークライフバランスは男女分業。女性の社会進出が大規模に発展したのは20世紀。わが国では、女性の帰属は家庭という意識が女性側に強く。女性労働力は戦争末期まで温存された。若年定年制は、女性への傾斜配分が本来の目的。差別として禁止されたが、水準の向上が優先され、男の長期雇用を促し、所得倍増とわが国の競争力の源泉になった。このように、対策がジレンマになる周期が数十年単位で発生している。矛盾は消えることはない。求める解が発生させるジレンマを予測するのが持続的な成長に不可欠。2018/06/14
くたくた
27
この著者の本を3冊続けて読んだが、同じジョブ型、メンバーシップ型雇用を取り扱いながら、若者、中高年、女性と切り口を変え、それぞれ新しい発見があった。3冊分のまとめとしてかなり長いが考えをまとめておく。①世界標準の職務給ではない家族給・生活給という給与形態を日本の産業界と労働運動が手を携えて成立させてきた過程と、日本の雇用の姿(その中で女性の労働がどのように変遷してきたか)を確認。こうして戦前から現在に至る雇用の形や法制を見ると5年10年単位で世の中の意識が結構ダイナミックに変わっていくものなのだと知った。2018/11/18