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内容説明
江戸時代、社会の基盤をなした村とはどんな世界であり、人々はそこでどのように暮らしていたのか。「割地」や「無年季的質地請戻し」など、土地や山野の所有をめぐる独特な慣行を重視しながら、小農・豪農・村・地域社会に焦点をあて、その歴史や役割を平易に解説。年貢と搾取に耐える弱者のイメージを覆し、自立した豊かで逞しい百姓たちの姿を紹介する。私たちの祖先や故郷へとつながる「本当の歴史」が見えてくる!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
saga
29
中世から近世にかけて百姓を視座に歴史を考える。元はフィールドワーカーに向けた指南書のようだが、農本主義の下での百姓の生活が伺い知れて興味深い。「百姓」については網野善彦氏の著書で農民だけを指す言葉ではないことは既知だが、本書を読むと農民が兼業として非農業生産に携わりながらも農業を捨てない者が大半であることが分かり、言葉の由来と現状が理解できるような思いだ。農地の所有権に限っては、明治の登記法施行によって改悪されたように感じる。2016/02/06
to boy
26
期待した内容とは違いましたが、いろいろと新しい事を知ることが出来ました。江戸時代の最小単位は「家」であり個人としての意味合いが少なかったこと。農業に対し加工業が栄えた江戸後期に村と区別するために町が出来たことなどな~るほどと思いました。でも、それでも農業を捨てなかった百姓たちの考え、気持ちの根源がどこにあるのかもう一歩深く知りたいところでもあります。2016/01/17
樋口佳之
25
村落共同体は近代化(商品生産の発展)を阻害したのではなく、むしろ自らの機能低下をともないつつも、商品生産と下からの近代化を媒介し/たとえていえば、村落共同体とは卵の殻/はじめは中の雛(小前層)をしっかりと保護し、孵化する段階すなわち小前層の自立性が高まってくると、割れて雛を外の世界に出し/日本の村落共同体の殻は、雛の成長によって割れたというより、ヒビが入った段階で、外からの力によって割られたというべき/2018/06/21
アナクマ
23
土地所有のありかたを背骨にして江戸時代の村落について説く部分が白眉。「村は土地の共同所有にもとづき、村人の生を担保していた」。限定された範囲の資源(耕地と山野)で生きていけるだけの人数を持続的に養うために必要だった共有(と束縛)という知恵。それから時代は私有へと流れ、利用できる資源の範囲は世界に広がり、再び限界が見え…(いまここ)。先祖たちの達成を繰り返し思い起こそう、と著者。これからの土地利用はどうあると良いのだろう。読んでよかった。2017/09/30
軍縮地球市民shinshin
10
「戦後歴史学」の近世村落史研究の成果が文庫で手軽に学べる本。戦国から近世初頭では村は地侍や有力者に仕切られていたが、江戸後期になると一般の百姓の意向も村政に徐々に反映されるようになっていったとか、自宅の敷地や自分の田畑であっても村全体の土地という観念があり、村を離れたら村に土地を返却しなければならない、という土地観念など、現代とはかなり異なった常識をもっていたことが分かる。その一方で村人は読書を趣味とし、富士登山や伊勢参りなどの旅を楽しんでいたので、その説明がもっと欲しかった。2016/11/09




