内容説明
日本の中世に暗躍した「怪しいもの」とは何者か。山伏、占い師、ばくち打ち、勧進聖……。神仏の威光を利用した彼らの活動は多様であり、心の平安を与える方法は多岐にわたる。一見すると詐欺のようにも思えるが、殺伐とした環境に置かれた人々に夢見る喜びを感じさせ、人間らしい感情や希望、未来について考える機会を与えていたのだ。中世の「宗教」の果たした知られざる効用を、豊富な事例から解き明かす新しい中世史。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kokada_jnet
48
題名から想像するほど「怪しいものたち」の話ではなかった。集団詐欺をはたらく「博奕」たちと、承久の乱後、6年間逃亡した、一条尊長が印象に残った。なお、後書きでは「勤務先での雑務多忙」「人文系学問への低評価」への嘆きが深刻かつ、非常に暗い調子で記され、「錯乱気味の後書き」とまとめられているが…。本郷先生、大丈夫かな。2021/08/19
さつき
29
院政期から鎌倉時代にかけて生きた「怪しいものたち」について様々なエピソードが語られています。私が特に印象的だったのは、血筋を疑われる落胤たちと権力を握る法勝寺執行たちです。以仁王と式子内親王が同母の兄弟だったとは知りませんでした。最期まで親王にはなれない以仁王に対して、式子内親王は賀茂斎院になるために内親王宣下を受けたのでしょうね。院政期に活躍した法体の院の近臣には、全然知らない人物も多かったです。信西の子静賢や後鳥羽院の側近尊長などの人生は波乱万丈で物語のよう。読み応えがありました。2016/11/23
bapaksejahtera
18
院政や武士の勃興期である中世について読み易い著書を提示する学者。最近読んだ「院政」は本書の数年後の本だった。後書きでこの本は中世における宗教の役割を描こうと始めたが、結局宗教の周縁をぐるぐる回る結果となったとして、勤務に関する雑事と学問との両立に苦しむ嘆き節のような事が書いてある。確かに本の焦点としてはやや散漫なものとなったが、民衆を含めた中世人の心の拠所としての宗教や迷信の位置付け、宗教家の権勢志向や徳行に留まらぬあれこれが面白い。特に勅願寺である六勝寺の一連の執行(しぎょう)職の列伝的記述は目を引く。2023/01/19
鯖
13
ごっしーと基通の男色関係を事細かに時系列に沿って、玉葉に記す九条兼実よ…。いや、台記の悪左府様も大概だけど、自分のことならまだしも、他人のそういうのをねちねち書くか普通。7月12日の法会で見初め、冷泉局の美人局にて20日に御本懐を遂げられた由。木曾殿が都のすぐそばまで来てる時だよ…。以仁王の娘さんが八条女院に引き取られたものの、可愛がられすぎて、周囲の嫉みを買い、八条女院領の相続問題も絡んで、早死にしたのは知らなかった。八条院といえば汚部屋というイメージだったけど、おおらかで面倒見のいい人だったんだなあ。2017/10/28
大阪のきんちゃん2
12
キャッチーな書名にまんまと引っかかって?手に取りました。 中世の上級国民?達が残した日記・歴史書・寺社文書などから博奕打ちの組織犯罪・夢告の政治利用・平安鎌倉期の公共事業のやり方・院政の成立過程などを浮かび上がらせて解き明かす…みたいな。 第五章に出てくる白河院邸・六勝寺は今の京都東山二条(蓮華蔵町・ロームシアター・図書館・美術館・岡崎公園一帯)界隈でつい先ごろまで通っていた場所♪九百年前に繰り広げられた世界に思いを馳せる… 読み物として快作!本郷センセー曰く「そううまくいかないのが人生である」頑張って!2025/08/26
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