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内容説明
「世の中は夢か現か現とも夢とも知らずありてなければ」(古今和歌集)。いま、たしかに「ある」が、それは同時に、いつか「なくなる」、あるいはもともとは「なかった」ーー。夢と現のあわいに生きる我々は、そのみずからの「はかなさ」にどう向き合い、超えていくのか。万葉から現代まで日本思想史を形成してきた無数の言葉を渉猟し、そこに通底する「はかなさ」をたどる。平凡社刊『「はかなさ」と日本人』に大幅加筆。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
風地
10
喜びを感じても「でもいつか無くなってしまうんだよね…」と、儚さを感じる、と知人に話したら「それは日本人としての宿命なんだよ」と言われた。それがとても腑に落ちて、日本人と儚さについて学びたくて手に取った本。無常観に関する日本思想史。万葉集から村上春樹まで、あらゆる儚さの捉え方が紹介され論じられている。一番しっくりきたのが寺田寅彦の"地震や風水の災禍の頻繁で しかも全く予測し難い国土に住む者にとっては天然の無常は遠い遠い祖先からの遺伝的記憶となって五臓六腑にしみ渡っている"かな。科学の取扱への警鐘も響いた。2025/08/31
大先生
10
「ありてなければ(あるけれどないので)」という無常の「はかなさ」の向こう側のあり方を①夢の外へ(極楽浄土など彼岸への憧憬)、②夢の内へ(葉隠の死狂いなど此岸への没入)、③夢と現のあわいへ(徒然草や本書など無常の世に踏みとどまる)、という3タイプに整理して解説した本です。本書を通読しても分かったような分からないような、微妙な読後感でしたが、とにかく、【無常という移ろいゆく儚い世界だということを認識し、それでもなお生き続けることへの前向きな精神を持とう!】ということだと理解しました。儚いからこそ鮮やかなのです2021/12/10
moonanddai
8
「遠い遠い祖先からの遺伝的記憶」とされる「無常」。生きている今を夢と感じ、そしてどうする?「夢の外へ」向かうのは「欣求浄土」、「夢の内」に留まる、というかのめりこめば、「一期は夢よただ狂え(閑吟集)」の世界、「夢と現のあわい(間)」に留まろうとするのが「徒然」となる、という…。さてさて、と考えていると、あの「夢で逢えたら」を思い出しました。「夢でもし逢えたら」というあれです。「あなたに逢えるまで(いっそ)眠り続けたい」とすれば「夢の内」に留まるのだろうし、目覚めて夢を楽しむなら「あわい」なのだろうか…W。2019/12/19
本命@ふまにたす
2
現代日本における「無常観」を入り口にした、ひとつの日本思想史に関するエッセイ。いわゆる原典にあたるような生の文章を多数引用して論じているのが特徴。2023/04/29
りっとう ゆき
1
ありてなし=有って無い つまりあるけどない、あるけどいずれ無に帰す、という存在のはかなさ。そんなこの世を夢ととらえてきた日本人、じゃあそれで夢の外側(極楽)を思うのか、夢を夢として没入するか、あるいはありてなしを受け入れて能動的に生きるのか、主にその三つの観点で古典から現代文学までひもときながら考察してゆく。と言っても世界観なだけにふわふわしてるけど。ただニヒリズムだけに陥らない著者の思いが感じられる。→2025/05/06




