三十六人の乗客

著者名：有馬頼義

光文社（2015/12発売）

• ISBN：9784334708924

内容説明

都心の銀行に三人組の男が侵入。守衛を殺害し、金を奪って逃走！　年末の宵である。事件後、銀座から草津へ向けて、三十六人の男女を乗せた深夜スキーバスが発車。この中に兇器を持った犯人が必ずいる。焦って悲劇を拡げてはならない。鳥集（とりたまり）刑事の苦悩はつのる……。　表題作のほか、現代推理の源泉ともいえる不滅の七編を収録！

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[千本通り]

著者は今でこそ忘れ去られた作家だが、昭和30年代では松本清張と並ぶ社会派推理小説家だった。今回まとめた8篇の短編は昭和29年から33年のもので、昭和29年に載っている「終身未決囚」で第31回直木賞を受賞後、人に読んでもらいたいと一生懸命、意欲に燃えて書いた作品群である。時代背景は古臭く感じるかもしれないが、人の心理をえぐった鋭い作品ばかりで、今読んでも面白い。

2021/04/09