内容説明
剣豪・宮本武蔵と決闘をして有名な吉岡一門。その流れを汲む吉岡清三郎は、自分の腕を貸して活計にしている。こんどの客は、大垣藩江戸留守居役。四藩による対抗戦で、各藩が代表を一人ずつ出して戦うことになったのだ。仕合の場所は浦賀近くに浮かぶ小島。さて当日、待たされたあげくに、やっと現れたのは鎖鎌の男。伊賀流らしい。あとの二人の流派はまだわからない。そしていよいよ、巌流島ならぬ「四流島の決闘」がはじまった!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mushoku2006
7
前作で斃れたのでは?と読者が思わされた主人公が見事に(?)復活。 なんだか人情味が増してきて、 さらにいい味が出てきましたよ。(^^) まだまだ今後も続いてくれそうで、 これは楽しみになってきました。2016/01/04
めにい
7
2巻で終わってしまって残念と思っていたら、どっこいしぶとく生きていた!! 冷たいようで、優しくてなかなかいいオトコではないか。2015/12/27
タツ フカガワ
6
前作から1年半後、江戸に帰ってきた清三郎は、脇腹の傷の後遺症で、腹が減ると途端に戦意が喪失する体質になっていた。ただし性格は相変わらず無情、冷血。一方、下女のおさえは実家と同業の質屋に嫁入りしていた。剣劇も凄まじいが、今回は藤沢周平「雪明かり」の一場面を想起するようなラストにほろりとしました。2017/12/29
oyai
5
前作で終わりかと思わせておいての、嬉しい続編。こいつが簡単に死ぬわけ無いと思いながらも、一抹の不安を抱えましたが、やはり復活。しばらくぶりに江戸に戻ると、おさえの状況にも変化が。以前より人間らしくなったような主人公、これで終わりってことは無いですよね2016/07/07
椎茸どんこ
2
決して丁寧な言葉づかいとは言えない主人公。そんなセリフのやり取りが新鮮な作品だった。文章が軽妙なのか作者の力量なのか凄惨な状況にもかかわらずさらりと読める。賭場に出入りする大店の息子をもとの道に引き戻すという話でも、息子の心の細かい部分の描写に作者の力量を感じる。登場人物はそれぞれの立場で心を強くもった者たちばかり。そんなところも魅かれる設定か。作品最後の「おさえ」と「清三郎」のシーンは作者の心にくい演出だ。2016/05/25