内容説明
従来の社会システムの多くは、耐用年数がすぎ、人や組織の在り方を窮屈にしている。多様なスタイルや解放的な文化をつくりだしていくには、この「かたい社会」のシステムや人間関係を、中心ではなく周辺部分からゆるめていく脱力的なアプローチが不可欠だ。ゆるい就職・NEET株式会社・鯖江市役所JK課……脱力的で実験的なプロジェクトの実態と、携わった当事者の生々しい感情の交錯から「新しい何か」の萌芽を探っていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マエダ
62
JKが主役のゆるいまちづくりやニートだけの会社など着想は面白い。ただ魅力はあまり感じない。2019/02/15
ニッポニア
51
破壊せず脱力せよ、余白が自分を明白にし、人生の主権を取り戻すわけです、なんのための人生か考えよう。以下メモ。勝負、答え探しはもうやめ、硬直したシステムや人間関係を緩めるアプローチをし、社会にグラデーションを作る。週3日だけのゆるい就職。女子高生がまちづくりに取り組む鯖江市のJK課、ゆるい提案が町を変える。問題を解決するのでなく、現象とただ付き合う。全員ニートのNEET株式会社、期待を裏切らない質の低いサービス。アイデアは尽きない。落とし所なんてなくていい。人生の主権を持っている人に悲壮感はない。2024/04/06
ホークス
48
良書。かたい社会をゆるいコミュニケーションで揺さぶろうとする著者に心底びっくりし、共感した。特にNEET株式会社。ニートだけで全員が取締役の会社を作るとどうなるか?百人のニート達はどうしたか?一緒に試行錯誤する場が重要だと感じた。著者はリアリストで、崩壊中の日本が古い建前を脱する方法を模索している。半人前なりに生きていける社会にすべき。アルバイトの時給は安過ぎる。その通りと思う。国や会社や家族などの「世間」にべったり依存する日本的風土も原因だ。依存と支配の関係を「かしこい脱力」で克服したい。2018/10/25
あちゃくん
41
鯖江市JK課とかNEET株式会社とか著者が関わった実例から、システムに適応する/しないという二項対立的なコミュニケーションからグラデュエーションを持ったコミュニケーションに変えていくかが語られています。面白かった。2022/08/27
Nobu A
16
若新雄純著書初読。最近、報道番組コメンテーターとしてよく見かける若新先生。大学教授らしくない風貌とは裏腹に心のひだに触れるような物言いにどんな人物なんだろうと気になっていた。著者の生い立ちから始まり、閉塞感漂う社会にゆるさの必要性を提唱。学生時代に自ら立ち上げた事業も含め幾つかの事例を紹介しながら傾聴や対話の重要性を説く。感銘を受けた発言は覚えていないが、本文を通して人柄が滲み出ている。ただね、話を聞いている分には心地良いが、活字となると若干モヤモヤ感が残る。他者理解は努力と労力が伴う。難しいよな。2022/06/13