創元ライブラリ<br> ハザール事典[女性版]――夢の狩人たちの物語

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ハザール事典[女性版]――夢の狩人たちの物語

  • ISBN:9784488070762

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内容説明

歴史上から姿を消した謎の民族ハザールに関する事典の形をとった前代未聞の物語集。キリスト教、イスラーム教、ユダヤ教の交錯する45項目は、通して読むもよし、関連項目の拾い読みもよし、たまたま開いた項目を一つ読むもよし、読者の意のまま。男女両版の違いはわずか10行。どちらの版を選ばれますか? 旧ユーゴスラヴィアNIN賞受賞。/解説=沼野充義※解説も男女両版に違いがあります。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おおた

23
ハザールという名前から既にかっこいいのに、改宗を繰り返して歴史から消えたというだけで、世界史心をわしづかみにされる。著者はそこに虚実入り交じる後世の物語を事典形式で書き連ねることで、『ハザール事典』を追いかける人と悪魔を描きだすことでメタ構造に幻想を織り交ぜる。事典という形式を念頭に置きすぎると、きらびやかな比喩や、思いの外明確な各項目のつながりが見えなくなりそうなので、初読時はすなおに前から読んで、再読する時に項目ごとを比較するのが吉。実は現代にまで続くハザールの姿が見えてきます。2016/01/24

いやしの本棚

11
面白かった!とりあえず最初から最後までページ順に読んだ。「事典」とあるけど、ふつうの小説と同じ読み方でも、最後に近づくと、あれこれのエピソードが収斂されて、緊迫の場面が展開されて、うわあ~どうなるんだこれ~!!となって、きちんとオチもある。かなりエンターテイメントだった。ミステリ的でもあり、千夜一夜のようでもあり、幻想文学でもあり…。ただメモもとらず、付箋も貼らずに読むと、記憶力のなさを痛感させられる一冊でもあった。2016/01/12

bookends

3
事典という形式が単なる実験にならず、スリリングな読書体験を生んで本当に面白い。ひとつひとつの項目が奇想天外な掌篇で、それが事典的な冷淡さで読者を置き去りにして終わったと思うと書を横断して別の項目の中に糸のもう一方の端が見つかり、かくて裏表で異なる模様を打ち出す織物のように、裏側には夢と転生と邂逅の壮大な物語が織り上げられていく。物語とは素材と素材の間に読者が見出す関係のことであり、素材となる事物ははじめから特定の視角から切り取られているという相対主義がこの書物をひとつの世界として開いている。2016/11/04

こうず

3
かつて実在したが現在は滅亡した謎の国家・民族『ハザール』について、事典の形式で記した小説。大枠は史実に依拠しつつも内容の大半は作者の創作した物語であるという。四十五の中・短編は『著者』の立場や信仰の違いによってそれぞれ主張や視点が異なっている。明確に食い違いつつ各々が微細に絡まり合い、関連付けられ、最後にはある結節点に集結していく様子は、一筋縄ではいかない難解さを持ちながらも、絡み合った糸の結び目を見つけ出すような快感と面白さに満ちている。2016/05/05

木倉兵馬

2
男性版、女性版の二種類(さらに二つをひとまとめにした良性偶有版もあるとか)があるポストモダン小説。それだけでなく事典の形になっているという説明に興味を惹かれ読んでみました。なかなか難しい作品でした……。とはいえ、ところどころ、「この描写はいいなあ」と思える箇所が多々あって読んだ甲斐がありました。男性版は以前読んだのですが、現在実家に置いてあるので、女性版とどのような違いがあるのかわからないのが今の心残りです。帰省するときに引き合わせてみようかしら。2018/10/17

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