創元ライブラリ<br> ハザール事典[男性版]――夢の狩人たちの物語

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ハザール事典[男性版]――夢の狩人たちの物語

  • ISBN:9784488070755

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内容説明

歴史上から姿を消した謎の民族ハザールに関する事典の形をとった前代未聞の物語集。キリスト教、イスラーム教、ユダヤ教の交錯する45項目は、通して読むもよし、関連項目の拾い読みもよし、たまたま開いた項目を一つ読むもよし、読者の意のまま。男女両版の違いはわずか10行。どちらの版を選ばれますか? 旧ユーゴスラヴィアNIN賞受賞。/解説=沼野充義※解説も男女両版に違いがあります。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

funuu

17
ハザールは謎の多い遊牧民であり、起源はもとより系統もはっきりしないが、おそらくテュルク系と考えられている。中国の歴史書である『旧唐書』,『新唐書』に出てくる波斯(ペルシア)国(サーサーン朝)に北隣する「突厥可薩部」がこの「ハザール」のことと考えられている。 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、バザール教?民族浄化の中心地の日本人には理解しにくい話。2017/04/29

かわうそ

16
項目ごとに奇想天外なエピソードが展開されていて、その背景にある世界の広がりを想像するだけでワクワクする。ハザール民族はキリスト教・イスラム教・ユダヤ教のいずれに改宗したのか、事典形式の記述の中で各勢力がそれぞれ好き勝手に歴史を描いているのが「藪の中」的で面白い。2016/03/21

K

12
かつて実在したハザール人をキリスト、イスラム、ユダヤの各視点から綴った事典風の世界体系/物語。初版(17世紀後半刊行)は焚書の憂き目に遭い、残った僅か数冊もまさかの事情で失われてしまったそうな。試し読みしたそこのくだりが妙にツボって思わず購入。どこから読んでもよいというのでひとまず前から順番に。ハザールの君主が三大宗教の導師達を招いて夢解きを依頼する。ワシを納得させたら国ごとまるっと改宗するぞとこれが大枠。そこで各宗教の立場から説得やら解説やらが展開される。→2019/12/23

rinakko

8
大好きなので再読(初読時は女性版)。事典という体裁の奇書。夢に住み夢を駆けめぐり、夢から夢へと渡り歩く〈夢の狩人〉という設定が先ず堪らない。幻夢と奇想が過剰に溢れ、溺れそうな私はそれが快感なのだから世話がない。時空を超えて張り巡らされた物語の糸たちは、綾で緻密な蜘蛛の巣の如き模様を成し…。今回も途中までは赤緑黄を行きつ戻りつ。最後の最後まで謎解きと驚きが待っていて堪能した。“王女は鳥たちに告げた──「行きて汝らの詩を仲間に教えよ、さもなくば早晩、詩はだれからも忘れられよう……」と。”2023/08/31

刳森伸一

7
かつて実在したハザール人に関する事典という体裁をとった小説。ハザール人に関する伝説をキリスト教、イスラム教、ユダヤ教の視点から描いた3つの事典と、付録などからなる本作は、ポストモダン小説の極みともいうべき遊戯性と実験性に満ちた傑作で、目がくらむような複雑な構造と脱線を繰り返す物語は驚異のレベルに達している。こんな本をどうしたら書けるのか。とにかく凄まじい。2021/09/23

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