内容説明
その家とその本は、何を隠しているのか──? 猫の住む家に集う人々とカルト的人気の小説を幾重にも取り巻く甘美な罠。現実と虚構、嘘と真実、過去と未来――。さまざまな二重写しの出来事が複雑なモザイク画のように描きだす謎に満ちた物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
青蓮
146
久しぶりの長野まゆみ作品。何だか作品の雰囲気がまた変わったな、という印象。本作は、まるで万華鏡を覗いてるような感覚でした。焦点に結ばれる像は果たして現実なのか、それとも虚構なのか。嘘も真実も融け合いながら、不思議な絵を作り上げる。謎が解けそうで、解けない。でも作品に翻弄されるのもまた楽しい。再読したらまた違った絵が見えそうな予感。「目に見えるものは、いつもほかのなにかを隠している」2016/01/15
jam
92
叙述トリックとして読むと、見えない風景がある。そして、謎が解かれても混迷は深まるばかりだろう。人が、自分の脳だけを通して世界を見ていることの不確かさを、時々考える。自分が見ている世界が、全く違った風景として他者に見えていることも、実際にあるだろう。だから、私達は定義付けを必要とするし、それが孤独の所以かも知れない。崖に立つ「リエトの家」には、夢で見たような既視感を持った。表題が全てだが、兄弟とは何か。書物と燃える石とは何か。それを比喩的象徴として読むか、謎解きとして読むかで、全く相違する物語になる。2016/09/17
かりさ
90
どこまでが虚構で、どこからが現実か。わかった風に読んでしまうと混乱の渦へ。複雑に組まれたパズルを丁寧に解き明かすも最後にまだ謎が突きつけられる。どこかで読み落とした事実があるのだろうか、と読み返す。決して読み落としてはいないのだけど、確実にある違和感に戸惑う。出口に出られたと思ったのにまだ迷路の中とは。双子の兄と弟、兄の妻サラと娘、小説家、語り手。長野さんの紡ぐ物語はいつも一筋縄ではいかなくて、その惑わされる感覚に魅了されるのです。ああ、要再読です。2015/08/19
あも
86
え、なになに?何が起きてるの?これほど混乱させられたら気持ちが冷めそうなのに不思議と気持ち良い。長野さんに持っていた幻想的な不可解さとは別ベクトルなのに流麗な文書に乗せられ、混沌のソファにずぶずぶと沈む心地良さ。なにせ、作中作が「現実と虚構が合体した虚構」なんだもの。祐介と計一という双子の兄弟の話であることは間違いない‥ない?ほんとか?とかく掴んだと思えば擦り抜ける。見つけたと思えば蜃気楼…を繰り返し、最後の最後まで翻弄されたのにとても楽しかった。だって真実なんて事実なんて必ずしも曝かなくたって良くない?2020/08/13
優希
86
雑文の積み重ねのようでもあり、レイヤーの集合のような話でもありました。物語を造り上げたと思えば、また新たな物語が生まれ、構造がどんどん変容していきます。何処までが現実で何処までが虚構なのか、誰が誰なのか分からなくなり、迷路に迷い込むような感じでした。全体としてストーリーのない曖昧な空気が漂います。初期の曖昧さとはまた違いますが、この雰囲気もまた独特で好きです。2015/10/10
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- 海流のなかの島々




