内容説明
「ぶっ殺す」「言い訳なんか聞きたくないわよっ!」「だからお前は電話番といわれるんじゃ、ぼけ」──追いつめられた人が、またほかの誰かを追いつめる場所“コールセンター”。「1年間の離職率9割」を生む過剰サービス社会の見えざる実態に、朝日新聞記者が迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スパシーバ@日日是決戦
108
{2015年} 「官」をあげて地方(是非とも我が自治体に!と積極的に誘致をお願いしているのは、北海道・東北・九州)進出を推進しているコールセンターという存在は、一体なんなのか。中で働いているのはどんな人なのか。どんな環境で仕事をしているのか。コールセンターといっても通販、自治体や公的機関、保険会社や銀行など問い合わせに対応するもの(いわゆるお客様相談室)から、クレーム処理に至るまで様々な形態がある。クレーム処理の職場は、ブラック企業のイメージが強い。だが..。2016/02/12
kinkin
76
「コールセンター」の実態に踏み込んでいる。顧客サービスのため、アフターサービスのためコールセンターというのは多くの会社が運営しているがその実態は、地方の非正規社員の受け皿になっていること。また都会にコールセンターを置いた場合と違い、精神的にも辛い労働ながら離職率が高くとも代わりの補充がしやすいということ。コールセンターの業務が過酷なことはわかったがその背景にはやはり非正規雇用というものの存在が大きいことを知った。素人が素人を相手にコールセンターで対応する構図を感じた。図書館本。2016/01/28
おかむら
42
感情労働で離職率の高いお仕事コールセンター。一口にコールセンターといっても自社でやってる「お客様相談室」から丸ごと外注まで、内容もかかってくるイン(受注や苦情)とかけるアウト(勧誘や督促)と幅広いのね。業界全体の労働環境に関する研究がほぼ無いらしいです。研究者求む。コールセンターの良い事例(カルビーとか)も書かれてたけど、やっぱやだなーこの仕事、家族にはやらせたくない。あと電話かけるのって私ら世代から上の人が多そう。ウチの子見てるとほぼネットで解決してるもんな。ナマ電話苦手世代なのか。2016/01/08
nizimasu
11
宅配便同様、労働集約産業の最たるものであるコールセンター。日本では沖縄にかなりの部分が集まっているという実態に切り込みつつもその現場の様子を読んでいるとブロイラーの鶏舎を思い出してしまった。後半にはカルビーのようにお客様相談室を内製化している成功例も紹介しているがどこも定着率が悪く悪戦苦闘しているのが正直なところ。介護しかり日本のサービス過剰社会に対して著者の記者は疑問を呈しているがここでは感情労働という概念を紹介していて人とのコミュニケーションがいかにストレスになるかについて触れられているのが大きな収穫2016/02/12
かめぴ
11
コールセンターの末端感、を少しでも緩和しようとしているのか。日本の過剰サービスは今に始まったことじゃないけども、皺寄せが集中するのはいつも弱者。2015/12/27