集英社文芸単行本<br> 円生と志ん生

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集英社文芸単行本
円生と志ん生

  • 著者名:井上ひさし【著】
  • 価格 ¥1,056(本体¥960)
  • 集英社(2015/12発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784087747652

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内容説明

関東軍の慰問に行けば、白いゴハンは食べ放題、おいしいお酒は呑み放題。そんな話にのせられて、敗色濃い1945年に満洲へ渡った二人の中堅落語家がいた。五代目古今亭志ん生と六代目三遊亭円生である。6月、7月は満洲各地の巡回慰問で絶好調。ところが8月の敗戦で、さっさと逃げた軍に置き去りにされ、大連まで命からがら落ちのびて長の足留め――。芸風・性格は正反対の両名が苦楽を共にし、ついに認め合う仲に。のちに名人と呼ばれた二人が戦後の混乱期の二年近くを生き抜いた中国大連で見たもの、経験した現実とは。歴史の影に隠された真実を鮮やかに描く傑作評伝劇。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

姉勤

24
戯曲。慰問という名の疎開に近かった、満州への逃避の志ん生、弥次喜多よろしく同行の円生。敗戦後、ソ連軍、続いて共産軍が本格的に経営する前の、日本人の帰還事業が本格化するまでのエアポケットな時代の、反戦(ただし日本が無抵抗前提の)劇。戦争のせいで流浪するが、器用に身を立てる円生と、だらしがなくも芸の面では円生が敵わない志ん生。戦前の国体、ついで、露助、中共軍、貧困、耶蘇教、そして巻末の文芸評論家への反抗は威勢がいいが、冗長でメリハリもなく。まあ、自分は舞台の感覚がない人間だから、最後まで間が測れなかった。2018/05/19

メイロング

9
芝居のポスターはよく見ていた作。主役が円生と志ん生なだけ、実際の舞台上でのセリフの掛け合いがより重要で面白さのポイントになりそう。松尾も孝蔵も上手にキャラが分けられていて、彼らを通して終戦すぐの大連の様子が浮き彫りになってくる。2011/08/17

purintabetainoo

5
第二次大戦。満州へ慰問に行った落語家2人の二年間。満州に行ったけど、日本が敗戦国となり帰れなくなってしまう。これが実話なのかと読みながら恐ろしくなり、また、当時の人のたくましく生き抜いた様に尊敬念を抱きながら読みました。 全体を通して、性格の違う円生と志ん生の掛け合いが心地よかった。また、「生きる=辛いことだが、その運命に身をゆだねることが大事」という思考のシスター達との交流場面で「笑い」というのは人間のたくましさなんだという考え方に感動。スマホ依存の私が同じ状況になったらと考えると、ゾッとする。2018/10/24

4
内地では好きな噺もできないし空襲に毎日びくびくし通し、いっそ大陸に渡れば楽しい思いもできそうだってんで、海を渡ったはいいものの3ヵ月もしたら戦争に負けて日本に帰れなくなってしまった後の名人2人。どんだけ悲惨な状況でもへらへらひらひらと軽い2人が素敵。状況設定といい井上ひさしの目のつけどころはやっぱりすごい。2011/03/22

いくっち@読書リハビリ中

4
稀代の噺家・五代目志ん生と六代目円生の戯曲。こまつ座第75回公演/作:井上ひさし/演出:鵜山仁/美濃部孝蔵(円生):角野卓造/山崎松尾(志ん生):辻萬長/テレジア院長ほか:久世星佳/オルテンシアほか:神野三鈴/マルガリタほか:宮地雅子/ベルナデッタほか:ひらたよーこ/禁演落語をやり放題で陸軍お抱えの特別待遇で慰問として満州へ行ったはいいが、日本が負けちゃった。窮地に追い込まれながらも孝蔵は楽観的。孝蔵とは対照的な松っちゃん。時代とは裏腹に明るい2人と最後の修道院の場面はおかしくておかしくて。2005/12/23

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