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内容説明
邦銀と外銀との相対取引で発生した円のマイナス金利が、いまや短期国債市場にも波及している。
そうした事態を引き起こす原因を探っていくと、空前の金融緩和と、それと表裏一体となった財政拡張に突き当たる。
低い国債金利は市場が財政リスクを懸念していないからではなく、懸念しているからこそマイナス金利がある、というロジックが解明される。
外資系証券でレラティブ・バリュー・アナリストを務める著者が、金融マーケットが発している日本経済への警告を読み解いた、異色の日本経済論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Miyoshi Hirotaka
34
スーパーには半額商品が並ぶ。廃棄するなら仕入れ値以下でも売った方が合理的だからだ。これがマイナス金利のメカニズム。仮に、これが大規模に起きるとコストが他商品に転嫁され、店の競争力がなくなる。通貨にもこれと似た現象が起きている。マイナス金利ということは、長期的に価値を蓄積する手段として円が不適格と見なされていることと同じ。それでも国債が発行できているのは、海外投資家だけが、日本国債に対する上乗せ金利を受け取る仕組みができているから。海外への資産流出は幕末にも起きた。そのためにわが国は塗炭の苦しみを味わった。2017/05/02
マカロニ マカロン
16
個人の感想です:B。なかなか仕組みが分かりにくい債券市場に関してわかりやすく説明されていて、全部分かったとはとても言えないが、目から鱗が落ちる思いだった。マイナス金利では海外投資家だけが日本国債に対する上乗せ金利を受け取る仕組みができているなんて、本当にびっくり。終章の「マイナス金利とマイナス成長の循環は避けられるか?」で著者の率直な思いが書かれていて、とても興味深かった。アベノミクスへの懸念、選挙目当てのバラマキではない合理的な経済政策(バーベイ・ロード)の運営が必要だと共感した。2018/08/30
Tadashi_N
16
其の場凌ぎの金融無策。世界はやっぱりドルを中心に動いている。2016/04/07
ともひろ
16
1月末のマイナス金利政策導入は、本当に議論が尽くされての結果だったのだろうか。本書を読むと、日本の金融政策の先行きが思いやられる。とりわけ、金融機関の収益性、健全性が担保されるのか不安になる。2016/04/02
速読おやじ
14
金融業界で働く僕のような人間にとってもマイナス金利ってなかなか頭に入ってこない。国債買ったら、逆に金利払わなあかんってどういうことやねん!!と思うのですが、市場はマイナスは益々進むと思っているようだし、日銀が買い取ってくれるしということでマイナスが進む。そもそも金利がマイナスだと、さほど儲からない低成長なビジネスでもやった方がマシという理屈になり、ますます低成長になるのじゃないのか?著者によればドル調達コスト高=実質円金利はマイナスという状態は数年前から発生していたとのこと。マイナス金利やはり難解。2016/03/14