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内容説明
戦争の死者とその弔い、国家と個人の関係を問うこと、服従か抵抗・自律か……。テーバイの王クレオンが仕掛けた侵略戦争で戦場から逃亡し殺されたポリュネイケス。王は見せしめに彼の屍を葬ることを禁じるのだが、アンティゴネはその禁を破って兄を弔い、伯父クレオンに抵抗するのだった。詩人ヘルダーリン訳に基づき、ソフォクレスのギリシア悲劇を改作し今日的意味を与えたブレヒトの問題作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takaichiro
88
ソフォクレス作ギリシャ悲劇のリメイク。権力構造の非人間性、愚かさ、脆さを簡潔に表現。戯曲形式の本作は一般市民の日和見的で非力な立ち位置も効果的に可視化。ビリーバッドのテーマでもあった誰の正義かを法や掟の視点で問いかけてくる。ナチスのユダヤ人弾圧にも繋がる人類の根に宿る闇。いくら時を経ても変わらぬ、人間同士の争い。多様性受容を求める現代社会は、均一社会よりもイライラが募るのではないか。どれだけ自制できるか。これからの人類の課題。光文社古典文庫は読みやすく、解説が充実していて、いいですね!はまってます^_^2019/07/11
マエダ
58
危険なほど論理的なアンティゴネに対してクレオンは権力で封じ込めるしか対応できない。他者に感染しないように粛清とはそういうものである。2018/10/20
みっぴー
46
ソフォクレス版は未読ですが、読みやすそうなブレヒト版で予習。オイディプス王の続編です。オイディプスに代わり、テーバイの王となったクレオンの暗愚ぶりと、それに対抗するオイディプスの娘アンティゴネ。気高く物怖じしない性格で、クレオンをとことんこきおろす…権力への反抗、個人の尊厳、戦死者への敬意、、、ブレヒトの政治的メッセージがアンティゴネという女性に顕れています。《悲劇》との謳い通りの結末ですが、それがかえっていさぎよいです。ギリシャ悲劇は癖になる(*_*)2017/04/16
molysk
43
ブレヒトは、20世紀ドイツの劇作家。叙事的演劇、すなわち観客の感情よりも理性に訴える演劇を発展させた。その手法の一つが、異化効果であり、観客を感情移入で劇中の人物に同化させるのではなく、劇中の事実を客観的に判断させることを目的とする。本作は、テーバイの王クレオンが起こしたアルゴスへの略奪戦争で、敵前逃亡の罪で屍を野に晒された兄を、禁を犯して弔ったアンティゴネが、己の正義を伯父クレオンに主張する。異化効果を生むのが、長老たちから成るコロス(合唱団)であり、両者の主張に日和見をする、民衆の声なき声を体現する。2020/07/05
ころこ
39
アンティゴネの家族の論理とクレオンの政治の論理が描かれるが、後年の我々や長老たちのコロスは対立する人物たちが、かの有名な一族であるという逆説には抗えないことを知っている。ソフォクレス→ヘルダーリン→ブレヒトと解釈を重ねながらつくられ、解説が充実しているので、何とも普通の解釈をする他ない。その解説には思考のメディウムとしての演劇というテーゼが掲げられ、演劇それ自体の余剰を否定する、解釈の余地のない演劇が理想とされているという。短い戯曲だけで判断するのは難しいので、他の戯曲も読んでみたい。2024/07/03
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