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内容説明
「日米安保条約があるから、アメリカは日本を守ってくれる」は幻想だった! 集団的自衛権の議論にも一石を投じる衝撃の事実。
日米関係を長年、取材してきた著者は、40年以上前のアメリカ政府機密文書に記された、こんな文言を発見した。
「米軍は日本本土を防衛するために駐留しているわけではなく(それは日本自身の責任である)、韓国、台湾、および東南アジアの戦略的防衛のために駐留している」
こうしたアメリカの政策は今も継続されている。2015年4月に発表された日米の政府間文書「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」には、日本の防衛は日本の「責任」という記述が書き込まれているのだ。しかし、ガイドライン日本語版からは「責任」という重要なキーワードが消えていた。誰が、何のために、作為的な翻訳をしたのか。
日米関係の転換点となった沖縄返還へさかのぼり、機密文書をもとに日米同盟の裏側と、そのあやうい現状を暴く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
matsu04
21
米軍は本当に日本を守ってくれるのか?著者は、多くの日本人が疑わないこの点を詳細に検証し、集団的自衛権行使容認の大前提として安倍首相が主張してきた論理がそもそも成り立たないと主張する。そしてその背景にはやはり、外務省による意図的な情報操作が垣間見えるとする。ううむ…。沖縄返還の裏側も知っておく必要あり。2015/12/25
勝浩1958
15
明日は米側にとっては「リメンバー・パールハーバー」の日。そのアメリカが日本を守ってくれていると日本人は今でも信じています。でも実際はそうではないらしい。このことに関してマスコミは大々的に大問題として取り上げてきたのか、私は詳しくは知らない。大方の日本人はやはり、沖縄をメインに日本の各所にある米軍基地に配備された飛行機や軍隊によって私たちは守られているのだから、米側への”思いやり予算”は仕方ないものと考えています。日本の政府もアメリカが日本を守ってくれると信じているのか、それともいつもの隠蔽か騙しか?2015/12/07
まみか
10
1972年という年にやはり深いものを感じました。原発が乱立しだしたのも、赤字国債発行が増えてきたのも、日中国交回復もこの辺り。プラス沖縄返還にもこんな裏取引が隠されていたとは…。春名さんと違い『日本は米国に見捨てられる』体で読んでいくと…本当に怖い一冊。冷厳なる国と国とのやり取りに絶句し、また納得。まずは知れてよかった。 2016/04/16
makio37
10
まさに「逃げるアメリカ、前のめりの日本」だ。米機密文書が示すのは、在日米軍が日本防衛のためではなく、韓国・台湾・東南アジアの防衛のために駐留しているという事実。日本の防衛は「日本自身の責任」だと。そして新『ガイドライン』の日英両言語版を突き合わせることで見えてくるのは、「自衛隊の対応については、より消極的に」「米軍の対応はより積極的に」曲げられた、日本側による悲しいまでに作為的な翻訳。はじめの2章分だけで、安保法制に関する安倍氏の説明は木っ端微塵に吹き飛ぶ。2016/03/16
ふぁきべ
7
米国の機密文書や日米の外交文書を紐解きながら、日米同盟について切り込んでいく。結論から言うと、アメリカの日本駐留はあくまで日本の地政学的な価値を考えた駐留で、日本を主体的に守る気はないということ。それは春名氏が機密文書や外交文書のソースを捏造したり曲解していない限り、間違いないように思う。沖縄返還時の話にページを割いているが、その当時のやり取りを見ているとアメリカの日本駐留は日本の軍事的な抑え込みも主目的の一つだったという印象を強く感じる。2021/05/27