岩波現代文庫<br> 昭和天皇・マッカーサー会見

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岩波現代文庫
昭和天皇・マッカーサー会見

  • 著者名:豊下楢彦
  • 価格 ¥1,144(本体¥1,040)
  • 岩波書店(2015/12発売)
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  • ISBN:9784006001933

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内容説明

長らく戦後史の謎であり続けた全11回の極秘会談.二人は何を話したかが「松井文書」解読で初めて明らかにされた.両者の会見とその後の昭和天皇の言動を精緻に検証した本書は,戦後レジーム形成に,昭和天皇が極めて能動的に関与した衝撃の事実を含めて描き出す.戦後史と昭和天皇を論争的に問う岩波現代文庫オリジナル版.

目次

目  次
   はじめに

 第一章 「昭和天皇・マッカーサー会見」の歴史的位置

 Ⅰ 第一回会見の検証
   “史実”となった『回想記』
   「東条問題」とその背景
  内務省による会談内容の「説明」
  フェラーズの覚書
  マッカーサーの「回答」
  キーナンと田中隆吉
  ヴァイニング「日記」と重光「手記」
  藤田尚徳の『侍従長の回想』
  奥村勝蔵の「手記」
  英国王への「親書」
  一つの「結論」

 Ⅱ 「空白」の戦後史
  ワシントンとの対立
  占領管理体制の特異性
  マッカーサーの権限問題
  アイゼンハワーとイタリア国王
  第四回会見と「沖縄メッセージ」
  天皇の憲法感覚
  同時代史の特異な“空白”

 第二章 昭和天皇と「東条非難」
   『マッカーサー回想記』への疑問
  松尾尊〓論文の「推測」
  公開された「御会見録」
  クルックホーンへの「回答正文」
  昭和天皇の“リアリズム”

 第三章 「松井文書」の会見記録を読み解く
   「松井文書」とその背景
  第一回会見(四五年九月二七日)
  第二回会見(四六年五月三一日)
  第三回会見(四六年一〇月一六日)
  第四回会見(四七年五月六日)
  松井の通訳への抜擢
  第九回会見(四九年一一月二六日)
  第一〇回会見(五〇年四月一八日)
  第一一回会見(五一年四月一五日)
  天皇・リッジウェイ会見
   「松井文書」が明らかにした天皇像

 第四章 戦後体制の形成と昭和天皇
  イタリア占領と昭和天皇
  極東委員会設置の背景
   『安保条約の成立』をめぐって
   「天皇外交」の展開
   「松井文書」と会見記録
  昭和天皇の憲法認識
  昭和天皇と「靖国問題」
   あとがき
   主要参考文献
   主な人名

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kokada_jnet

74
美談的になっている昭和天皇とマッカーサーとの会見の談話内容の「定説」は間違いであり。日米開戦の際は東条にだまされたと、自分の責任を逃れるために言っていたということを、非公開を含む多くの資料から、解き明かした本。「立憲君主」と自称していた昭和天皇は、戦前・戦後を問わず、実際は多くの政治的な行動を起こしていた。2023/04/16

Willie the Wildcat

66
丹念に記録を積み重ね、それらに基づく論理的検証と導き出す推察。敗戦国の戦後処理を巡る東西の神経戦と、朝鮮戦争に代表されるH2Hの陣取り合戦。日米双方の思惑の交錯が、二重外交の土壌。戦前から、大なり小なり営まれていたであろう「受動的&能動的君主」の使い分けが、基本戦略也。その”代償”は歴史が評価するのであり、原理原則だけで語るのは非論理的。但し、不十分な情報公開が、物心両面の風化を加速。結果、代償の補償と”原状回復”の現状分析、そしてその評価も闇の中、という方程式。2023/10/06

おさむ

41
最近、憲法関係の本を読み漁っていますが、これは名著でした。まさに歴史探偵。昭和天皇とマッカーサーの会見記録が公開される前からさまざまな史料を基に両者が憲法と日米安保で互いに利用しあっていたという仮説(今ではかなり信憑性が高い学説)をたてていた慧眼に驚きます。2016/11/02

ワッピー

25
昭和天皇とマッカーサーの会見の内容に始まる日米交渉の資料から、天皇の果たした重要な役割を明らかにする労作。新憲法の制定、米軍の沖縄駐留、日米安保、靖国問題などの根幹にある基本思想は、この会談で天皇が明確に示されている。当時の連合国側の(特に米ソの)綱引き、マッカーサーの権限解釈など怪しい状況の中で、戦後体制が作られたということも明示されていて、特に日本の近現代史について不勉強のワッピーには大いなる啓発でした。2019/05/09

樋口佳之

18
タイトルからは二人の会見に限定された話の本のようで少し損していると思われます。四章「戦後体制の形成と昭和天皇」。この方が本書全体を表していると思います。/こうして、皮肉な表現を使うならば、「国体護持」を保証する安保体制こそが、「独立」を果たした日本の新たな「国体」となったのである。2016/09/29

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