新潮文庫<br> ボヴァリー夫人

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新潮文庫
ボヴァリー夫人

  • ISBN:9784102085028

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内容説明

娘時代に恋愛小説を読み耽った美しいエンマは、田舎医者シャルルとの退屈な新婚生活に倦んでいた。やがてエンマは夫の目を盗んで、色男のロドルフや青年書記レオンとの情事にのめりこみ莫大な借金を残して服毒自殺を遂げる。一地方のありふれた姦通事件を、芸術に昇華させたフランス近代小説の金字塔を、徹底した推敲を施した原文の息づかいそのままに日本語に再現した決定版新訳。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ykmmr (^_^)

137
シャルルとエンマ夫妻の組み合わせ。こう言う夫婦は、こんな感じとなり、こう言うオチになると言うのが鉄板。これは『小説』ネタとして欠かない話。この作品はその内容より、こんな内容を、1つの『書物』と『芸術』として美しく描き上げた、作者の『実力』を見せるものなのかと思う。自由奔放すぎて、自分自身で『展開』をどんどん変えてしまうエンマ。『肩書き』と『プライド』で彼女を上手く『操縦』出来ないシャルル。その真逆の姿の対比性が良い。まあ、若くして結婚してしまい、大人になりきれていない。それが子育てにも連鎖している。2022/04/09

扉のこちら側

101
初読。2016年13冊め。【107/G1000】新訳には賛否があるようだが、私は評価する。心優しいけれど凡庸な夫との田舎暮らしに倦んで、色男や青年との恋愛遊戯にのめり込んで破産からの自殺と聞くとそれだけで「もういいよ、十分お腹いっぱいです」という感じなのだけれど、それがよく昇華(あるいは消化)できている。人はどうして分不相応な暮らしにあこがれてしまうのだろうか。【新潮文庫夏のキャンペーン1967(旧訳版)】2016/01/09

nobi

95
機転の利かない実直なシャルルと、大胆さを秘めた初々しいエンマとの出会い。先に読んだ「三つの物語」の興趣とはまた違って、映像がゆっくりと、写真の無かった時代の精緻な肖像画のように克明に、眼前に現れてくる。例えば教会の聖水盤に、エンマの瞳に、映る視覚的描写、例えば本人達にも自覚されない心の動きや思い違いといった心理的描写。その幸福感と読書する自分を意識する読み方、が次第に許されなくなってくる。舞い上がってしまう恋愛感情も意想外の展開も半分訝しい。なのに、鬱屈と光明、期待と落胆が、自らのことのように思えてくる。2020/01/26

アキ

87
フローベル30歳の時に執筆開始し、4年半をかけて完成した。1856年パリ評論に掲載され、1857年ボヴァリー裁判後、店頭に並ぶと飛ぶように売れた。プルーストが表象の革命と評した自由間接話法を忠実に訳した芳川泰久の解説も熱がこもる。「ボヴァリー夫人は私だ」という有名な言葉だけを頼りに読了したが、エンマとシャルルが夫婦でも見ている景色が全く違い、ロドルフもレオンも業の深さは彼女を前にすれば、理性も働くなるほどの魅力と恋に溺れて破滅に向かうボヴァリー夫人の姿を、冷徹に書き記すフローベルの筆力が印象に残る。2020/01/25

aoringo

79
19世紀のフランス。恋に恋する農家の娘が結婚に幻滅し、不倫に溺れ、そしてその末路を描いた名作。娘時代に読んだ小説のような恋に憧れ続け、いつか現実と向き合わなければいけないのに、そのまま大人になってしまった人妻エンマ。なまじ容姿に恵まれたのでほっといても男が言い寄ってくる。そこに不幸があったのかも。浮気の度、本気になり心身ともに捧げるのに気がつくと飽きられて捨てられる。不倫に純愛を求めて上手くいくわけないし、火遊びと割り切って楽しむには器が小さ過ぎた。大人になれないモラトリアムがこの悲劇を生んだのだろう。2024/08/22

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