新潮文庫<br> 不愉快な本の続編

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新潮文庫
不愉快な本の続編

  • 著者名:絲山秋子【著】
  • 価格 ¥528(本体¥480)
  • 新潮社(2015/11発売)
  • ポイント 4pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101304564

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内容説明

フランス留学時代に女でしくじり、帰国後も生来のヨソ者として暮らしてきた乾ケンジロウ。東京でのヒモ生活から遁走し、新潟で人生初の恋に落ち結婚するも破局。富山では偶然再会した大学の女友達に、美術館で盗んだジャコメッティの彫刻を餞別に渡し、逃げるようにして故郷の呉へ――。『異邦人』ムルソーを思わせる嘘つき男の、太陽と海をめぐる不条理な彷徨。著者の最高到達点。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゴンゾウ@新潮部

101
「続編」と言うことだが、本書から読んでも不愉快だった。嘘つき男のロードムービー。全く共感できない主人公のはずなのに引き込まれてしまう。絲山さん、さすが。2020/08/31

ふう

69
女友達の万引き癖を知ったあと、美術館で盗んだ彫刻を「あげるから、もう泥棒はやめな」と渡したとき、もう乾は井戸から出ることをあきらめたのだと感じました。こいつらみんな東京に行くのか。いいなあ。「ああオレも太陽が見てえ」…不愉快な本の続編は、不愉快というよりはやるせないものでした。2016/02/29

masa

67
夜な夜なことばと性交した。勿論、誰かのためではなく自分のために。誰かのためにする性交なんて吐き気がする。そうだろう?そうして生まれた子どもが物語だ。ことばと大切に育てた物語はやがて本になり他人の家へと嫁ぐ。親としては複雑な気持ちだが誰にも読まれない物語はとても哀しそうだからこれでいいのだと諦める。他人に知ったような顔で批評され、それこそが不愉快な物語の続きになるとしても。そのうち売れた作品をAIで分析し生成した、誰かへと迎合した物語の時代が来る。それが最も不愉快な本の続編なのだとあなたには気づいて欲しい。2021/01/24

絹恵

44
彼は感じられないと言ったけれど、本当は感じすぎてしまうから何も感じなくなりたいと願ったのかもしれません。どこまでが嘘でどこまでが本当なのか、ムルソーが噤むことで守った本心と、乾が恣意的に紡いで託した本心は、本質は同じなのだと思います。だからこそ彼の魂は、太陽も海も愛も求めた全てがある本のなかで眠ることが出来るのだと思います。2015/07/16

coco夏ko10角

32
単行本読了済。『愛なんかいらねー』の乾ケンジロウ再び。あちらの乾はホント苦手で再読する気になれないけど、この本の乾は思考の展開の仕方とか結構好き。なにより小説ならではの表現世界が好きなので、時々開いて文章を齧りたい。あとこの作品をちゃんと「解説」する鹿島田真希さんすごい。2015/06/23

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