きみはいい子

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きみはいい子

  • 著者名:中脇初枝【著】
  • 価格 ¥1,540(本体¥1,400)
  • ポプラ社(2015/11発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 420pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784591129388

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内容説明

夕方五時までは家に帰らせてもらえないこども。 娘に手を上げてしまう母親。 求めていた、たったひとつのもの――。 怖かったのも、触れたかったのも、おかあさんの手だった。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

優愛

618
知ってるよ。君は悪い子なんかじゃないってことを僕は知ってる。君はいい子。だからそんな風に静かに隅で涙を流すんでしょう。心を押し殺して気づかれぬよう叫ぶんでしょう。止まない反響しては消えない助けての声が聞こえる。信じて。その小さな叫びを掬い取ってくれる存在は、その一筋の涙を拭ってくれる存在はきっと君の側にあるから。君は何にも悪くない。優しさは時に仇となるけれど憎しみに染まらないでいて。私が保証する、そのままの君でいいんだから。唯一無二の愛しい命を宿した君の存在がどうか大切な人の中で生き続けていけますように。2015/02/25

にいにい

564
初中脇初枝さん。五篇の虐待に絡む作品群。一つの町で起こる重く、切ない話の連続。しかし、どの話も、誰かが誰かにちょっとした幸せをあげている、それが、その子・人を助ける。自分にも良い所があると自己受容出来る。現実は、もっとひどいこともあるのだろうけど、この作品は、希望を見せて、読者に後を任せる。中脇さんの優しさを感じる。自分を認める大切さを伝えるメッセージを。人と付き合う際、手元に置いておきたい一冊。みんなに思ってほしい「わたしは、いい子」って。2015/01/19

風眠

558
静かな文章で、やさしい雰囲気の表現が多いけれど、痛みと緊張と悲しみの川が物語の根底をザーザー流れている。暗闇の中、声をあげずに泣いている子ども。我が子に手をあげてしまう親の苦しみ。そんな嵐の夜に、助けが必要な人の為にドアを叩いてくれる人がいてほしい。ひとつの町を舞台に語られる物語は、現実にいくつもある町となんら変わりない、どこにでもある風景だ。虐待という重いテーマを扱っているのに、何となくじんわりと温かい気持ちになるのは、誇張しすぎない文章表現のせいか、それとも物語それ自体が持つ「救い」のせいなのか。2012/11/12

青乃108号

463
児童虐待をテーマに掲げた短編集、5話収録。思った程、陰惨な話ではなかった。虐待を受けて育った子供は自分の子供にも虐待をするようになる、という法則に乗っ取った話もあるが、どの話も最後に仄かな救いが描かれて印象は悪くない。5話が全て同じ町での話であり、登場人物が別の話にリンクしてくるのは良くあるパターンで、またこれか、と思った事はあったけれど、その点を除けば全体的に各話とも読みやすく良い話であり、十分及第点をつけられる良い本だった。特に最後の「うばすて山」が印象に残った。読み終えて改めて本のタイトルが切ない。2024/09/13

444
同じ街に住む登場人物たちがリンクする短編集のような構成で、家庭と学校における様々な問題を描いていた。新米教師の経験不足による学級崩壊は胸が痛かったし、発達障害やモンスターペアレンツ、暴力だけではない虐待のさまざまな形など盛り込んでいて興味深く、ページ数があるわりに一気に読んでしまった。大きな感動とか救いを求める話ではなく、淡々と追っていくドキュメント式の展開はリアル。個人的には最後の「うばすて山」で、まったく同じ経験をした子ども時代の自分と母との関係が重なりすぎて、あれも虐待と呼ぶのかとショックを受けた。2013/10/03

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