内容説明
廃校が決まった高校の最後の生徒として入学した僕らの、「終わり」だらけの平凡な毎日は、特命を受けて赴任した非常勤講師との出会いで一変した――。
「レッツ・ビギン!」と叫ぶ熱血中年オヤジ・ジン先生の「始めるウイルス」に、いつの間にか感染するイマドキの高校生たち。
省エネを第一とし、面倒事からは極力距離を置こうとしていた主人公・ネタローも、通学路で見かけたピエロさんのジャグリングに魅せられ、ついに「始め」の一歩を踏み出すことに……。
今を生きる全ての人に贈る、直球ど真ん中の青春賛歌。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えんちゃん
58
勝手に課題図書3月。廃校が決まった高校が舞台の青春ストーリィ。重松さんは昔たくさん読みすぎてアレルギー起こしてたけれど、久々に読んだらやっぱり間違いなく素晴らしいと実感。いまは逃げてもいいとか楽に生きる方法がもてはやされている。でも。頑張ることはやっぱり大切なことなんだ。何か全力で頑張った経験は、大人になったら必ず役に立つから。人生にやり残したことはないか?自分の胸に聞いてみたくなる。子どもにも大人にも響く良書。2025/03/24
速読おやじ
48
重松清の青春群像モノは大好物である。主人公の住む玉川ニュータウンは多分あそこがモデルで、そう考えると親近感が湧く。廃校になる公立高校の最後の高校三年生、淡い恋、最後の思い出作り、もうそれこそ幾度となく物語に使われる素材である。それを重松清は40代で書いているのだ。デビュー作のビフォアランを書いたのが20代、同じ高校三年生が主役だ。歳月が過ぎたからこそ書けるモノもあるだろう。一瞬でいいから、あの頃に戻りたくなった。いや、僕の高校は男子校で二段ベット2個の寮生活で、ウサギ飛びの青春はもうお腹いっぱいだ^ ^2021/06/27
kk
38
いやいやいや、良い話だったなぁ。昔はこう見えても高校生だったこともある、二人の子を持つオヤジとして、限りない共感を抱きながら読みました。ところどころ鼻の奥がツーンとなったりマブタがウルウルしたりしました。ホントは若い人たち向けなんだろうけど、kkみたいなオヤジがウルウルしても全く恥ずかしくない、素晴らしい物語だと思いましたよ。さぁ、レッツ・ビギン!!2020/01/31
shiozy
37
久しぶりのシゲマツである。東京近郊にありながら、廃校を迎える玉川東高校(通称トンタマ)。その最後の三年生たちのお話である。久しぶりにシゲマツの青春物を読むと、話のクサさに照れてしまう。ちょっとベタ過ぎない? 最初はそう思うのだが、次第に話にのめりこんでいく。最後は決まって涙である。トンタマ最後の高校生。「最後だからこそ、俺達で何かを始めよう」「レッツビギン」なのである。そういえば、数年前に関わった「創業支援」のプロジェクト名も「レッツビギン」であった。2015/10/14
Takeshi Kambara
32
高三の秋、廃校が決まった学校で最後の二学期をだらだら過ごしていた主人公達の前に突如現れた熱血業者の校内放送で始まる化学反応。そこからの子供達や周りの人達の心境の変化がとても面白い。青春時代の何でもない日常がいかにキラキラしたものだったかは今だとよくわかる。物語終盤は結構感動的だった。レッツ・ビギン!あと、ムクちゃん大好きだから二人のその後を描いた続編を読んでみたいです。2019/02/26