内容説明
“子育て”とは“子どもが親を育てること”ともいえる。子どもと日々誠実にむきあうことにより,予想外の思わぬ自分に出会いながら,人はより内省的に己を見つめ成長させられていく。
わが国の乳幼児精神保健の旗手ともいえる著者は,フライバーグ,スターン,クラメールら先達の知見と自身の長年の臨床経験から,親世代の苦悩が子やその孫へ無意識のうちに持ち込まれてしまうという情緒の世代間伝達の概念を示し,その連関を絶ち切る必要性を述べてきた。
本書では,実際に乳幼児期~思春期の各段階で起こる問題を,母子の関係性の障害とし,その構造を「世代間伝達」の視点から捉えることで問題の理解と支援を説いていく。
加えて,虐待,自殺企画,子どもの死,生殖医療など現代を生きる母子を取り巻く新たな問題についても支援の方法が示されている。
目次
1.子どもの心のケアと母子のコミュニケーション―乳幼児の心の世界―
2.成長・発達からみた思春期の特徴―心の視点から―
3.児童虐待と心的外傷
4.子どもの心に影響を与える家族の問題
5.乳幼児のプレイ・セラピー―幼児のプレイ・セラピーと母親-乳幼児セラピー―
6.家庭内暴力への対応
7.子どもの自殺企図―対応の原則―
8.少子化時代の子どもの死
9.生殖補助医療で生まれた子どもの心
10.転移・逆転移と世代間伝達―親子のすれ違いの謎を解く鍵―
11.心のあけぼの―ダイナミックな赤ちゃんの世界―
12.子どもを育てる心のネットワーク―新しい時代の心のふるさと作り―
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小鈴
18
『母子臨床と世代間伝達』の続編の論文集だが読みやすい本なので二冊とも文庫化して読み継がれて欲しい。前者の事例は乳幼児中心だが、こちらは児童期、少年期の事例が多い。子供の心の健やかな成長を促す三つの家族機能、「父母連合」「世代境界」「性差境界」をあげ、主に父母連合(多忙で父親が不在家庭)がうまく機能していない事例を主にあげている。また、世代間連鎖として、戦場帰りの父親が母親にあたる姿を見た男子が父親になり、家庭を省みず妻にあたるなど事例豊富。引きこもり家庭内暴力の事例は適切な介入があれば変わることができる。2020/10/24
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