内容説明
「東京一極集中は悪であり、地方との格差をなんとしても是正すべきだ」という意見は、日本人に根強い。だが、本当にそれだけでいいのだろうか。
世界は今、都市間競争の時代に突入した。この地球上で競争しているのは日本やアメリカのような「国」同士ではない。ロンドン、ニューヨーク、パリといった「大都市」こそが、今や競争の新たな「単位」なのだ。
大都市であるほど発展する性格をもつ第三次産業は、ヒト・モノ・カネの集積によりその競争力を増す。この動かしがたい経済合理性の結果、世界の多くの国で、いま大都市への一極集中が進んでいる。この事実を無視して、一極集中是正を金科玉条として東京の集積を否定すると、結局、東京の国際競争力の失速を招く結果となる。
もし、東京が競争力を失うと、その冨を得るのは、実は海外の諸都市であって地方ではない。
東京の失速は、結果的に地方に分配する原資がなくなるという受け入れがたい未来が待っているだけである。
東京が世界一の都市にならなければ、日本に未来はない。
東京が沈むと、地方が沈み、日本が沈む。
都市政策の世界的第一人者が、東京、そして日本の未来を「一極集中」の是非という長年の課題に踏み込んで、その真実を語った議論沸騰の書、ついに誕生!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みっくん
38
東京が沈めば日本が沈む。。。グローバル化の進展により国際都市間競争が重要であるからして、今後先細りとなる人的資源を選択的に集中投下し、日本の大黒柱である東京に頑張ってもらいましょう。地方創生では東京への過度な人口の集中を是正すると掲げているがそうではないと。。。本書では今後の地方の方向性については他の専門書に譲るとなっている。んー。もはや日本と地方、なんだか別々のものの話のように感じてしまう。。。別なのか。。。2016/01/11
kotte
16
「東京一極集中」この題名にひかれて読んでみました。他の方のレビューにもありますが、Amazonでの評価が賛否真っ二つに割れる評価が難しい本です。私は地方のインフラを維持する費用の捻出が困難になるであろう財政的な問題点から東京一極集中はやむを得ないという考え方です(積極的に集中すべきというものではありません)。現在の日本の財政状況だと、将来は東京周辺と地方の大都市周辺のインフラぐらいしか維持できず、結果的に大都市集中型の日本になっていくのではないかと感じています2017/03/25
MOKIZAN
11
主題については躊躇なく賛意を示すんですが、論拠とされる記述事項は、甚だ空虚で、説得力もへったくれも無いと感じちゃいました。その主たる2項、①今後の発展ステップとして、東京五輪とリニア新幹線といった、杭の1本も定まっていない絵餅事業を連ねている。②機能集中に対するリスク対策として、震災対策のみを綴っている。他の人災、災害事象対策についてはほとんど触れられていない(東京は既にテロ被災都市です)。過去に他著を読んで、同じ志向を良い根拠を持って述べる方と感じていただけに、本著は本当に残念だと思う。2016/01/19
makimakimasa
6
題名に懐疑的だったので、どんなもんか読んでみたが、大筋の部分はわりと納得。つまり国際的な都市間競争の現代において、また第三次産業従事者が労働者の7割を占める日本において、一極集中は経済合理性に基づいた必然的帰結であるという事。小泉内閣「三位一体の改革」を例に挙げつつ、東京で稼いだ金で地方も生き延びれるという構造が説明される。先週末の都知事選で落選した増田氏のレポート(一極集中悪者論)についても取り上げられてた。しかし色んなデータ持ち出されてもその真偽が判断つかないし、都合の良い解釈してそうな疑念も消えず。2016/08/03
Yuji Hamano
4
「東京の一人勝ちでズルい」といった議論を終わらせ、世界第三位の都市をもっている今の優位な状況を加速させてないと、「東京も一地方である」という理由で足を引っ張っている間にシンガポールや香港などがアジアの中心都市の座を奪い、かろうじて東京により牽引されている日本経済が失速することに警鐘を鳴らす本2018/07/03
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