内容説明
『蛇イチゴ』『ゆれる』『ディア・ドクター』『夢売るふたり』、2002年のデビューから、オリジナル脚本・監督による四作の長編映画を生みだし、数々の映画賞を受賞した映画監督・西川美和。本書は、いま次回作にもっとも期待の寄せられる西川氏、初のエッセイ集。小説誌「ジェイ・ノベル」の連載「映画にまつわるXについて」を中心に、雑誌、新聞、ウェブなどに寄稿した7年分のエッセイを収録する。脚本やキャスティング、取材やオーディションなど、『ゆれる』『夢売るふたり』などの映画制作の現場にまつわるエピソードはもちろん、旅先での出来事や人との出会い、刺激を受けた映画や本について、子どもの頃のことなど、内容は多岐にわたる。いずれも西川美和というフィルターを通し、見つめられ、切り取られた一瞬の風景だが、横綱・朝青龍関はヒーローかヒールか、映画において裸とはどうあるべきか、オーディションでは何を見られているか、カチンコの役割について――などなど、映画作品と併せて楽しめる一冊。解説は、寄藤文平氏。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のぶ
52
映画監督として、小説家としても若くして優れた作品を生み出している西川美和という才人がどんな人物か知りたく、エッセイを読んでみた。タイトルの通り映画の話題を中心に、共演者とのエピソードや観た映画の話等いろんな話が出てくるが、全体を通して感じた事は、人間をよく見ている人だ、という事。その感性が作品に反映されていると思った。他、印象に残った映画のデジタル化の話。コストにするとフィルムは最早勝ち目がない事、画質にほとんど差のない事。自分が観ている映画がどちらか気付いていない自分だが、フィルムの滅びるのは寂しい!2015/11/06
おさむ
44
フツーのエッセイ集なのに、嫉妬や屈託等、人の心の負の側面もきちんと書けるところに西川さんの文才を感じます。太宰治、坂口安吾、カズオイシグロ、向田邦子…。なるほど色んな作家さんを読んでいるからこそなんですね。映画だけでなく、是非とも小説もどんどん書いてください。2016/05/13
さぜん
43
才色兼備ながら内面にはマグマのような熱いものを持っているイメージ。映画は見てないが自ら作り出した物語を映像化するなんてすごい才能だと思う。小説はもちろんエッセイも面白い。文章も巧いし表現力が素晴らしい。映画のネタは夢だという。それを筋立てて物語にし映像化もする。「ゆれる」の制作過程も興味深いエピソードが満載。若くして成功した感もあるがどろどろになってここまで来たんだろうな。これからも彼女の視点がどこに向くのか、何を生み出すのか期待。2015/09/23
ぽぽ
36
西川さんの、映画に対する真摯な向き合い方に、思わず己の姿勢を正す。x=蔵書の掟、x=オーディション、が好き。本の内容を全く自分の内側に「所蔵」できないもどかしさに共感。是枝さんの”君が今感じた違和感は―その感覚をずっと忘れずに持っていてもらいたい”…の言葉が印象的。目当てだった『ゆれる』の話も良かった。発端からキャスティング、クランクアップまでの物語の裏の過程を知り、再度映画を観たくなった。香川照之、オダギリジョー、真木よう子、の主要キャスト3人の力はやはり凄い。2018/04/09
hope
34
★★★★★ 映画監督・西川美和さんの大人の女の感性が溢れるエッセイ。柔軟な思考や視点、ユーモラスでビターな文章は、実に伸びやかで清々しい。そして、やはり、映画に関しての貪欲さや愛情は強烈だ。『ゆれる』の舞台裏、香川照之氏のエピソードには痺れる。映画の魅力を思い出して、また見たくなった。2017/07/10
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