内容説明
ヒット作『家栽の人』で一躍人気マンガ原作者となりながら、著者は、その成功を素直に喜べない自分に出会う。現実離れした人物像を『家栽の人』の主人公にしてしまったことに苦しみ、著者が突き当たったのが、戦後の少年法が抱える問題だった。少年法への無知、無理解が、ピント外れの「少年法叩き」を生む日本社会の現状を嘆く著者に、二〇一四年夏、末期の食道がんが見つかる。すでに肝臓、リンパ節、肺にも転移していた……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
110
「家栽の人」を書かれた毛利甚八さんのノンフィクションです。前半はご自分の経歴からこのコミックを書かれるようになった経緯、中盤は非行少年・少女を雇ったり大学進学のための塾をしている人の話、最後は佐世保の殺人事件について少年法と自身ガンになっても少年たちのための活動を行っているさまが書かれています。コミックは読み直し中ですが、「宮本常一を歩く」を読んでみたいと感じました。2017/12/09
Y2K☮
47
あとがきで本人も認めているが、被害者の遺族への配慮が弱い。加害者にも考慮すべき事情があると思うし、実名が晒される事への警鐘も分かる。でもそれを云うなら被害者やその家族のプライバシーはどうなるのか。全体的に感情が先走り、論調も偏り気味。体調的にこれが精一杯だったのかな。でも安易に厳罰化を唱えがちな少年法への提言は筆が鋭く、刑事裁判と少年審判の根本的な違いや裁判所の旧態依然とした体質なども勉強になった。非行少年の更生の為に彼らを雇い続ける野口氏や藤岡氏には頭が下がる。「家栽の人」もう一度書いて欲しかったです。2015/12/30
しいたけ
40
「家栽の人」の原作者毛利さんは少年院の篤志面接委員をされていたのだそう。この本で無知・無理解による「少年法叩き」に対して警鐘を鳴らしている。刑務所のような単なる時間刑より、少年院のほうが余程きついと言う。後半、癌で余命わずかと知った著者から、佐世保事件の加害少女に向けた語りかけになっている。加害児童をケアする仕事をしてきた人間として、是非読んで頂きたいと思う。加害者の心の闇に寄り添うことは、決して加害者を甘やかすものではない。被害者を冒涜することにもならない。闇を見つめ解き明かそうとする強さを持ちたい。2015/12/20
さなごん
29
読み友さんの感想から、読んでみたかった本。「家栽の人」は読んだことないので、?なところもあったけど特に野口さんと藤岡さんの話はすごかったな。あと、少年院の篤志面接のエピソードもよかった。2016/04/16
R
26
漫画原作者としての裏話も交えつつ、少年法のあり方について考えたことと、佐世保の事件に対する著者からのメッセージが編まれた本でした。前半の、漫画原作者として悩んだギャップの話が面白く読めました。こうやって漫画の方向性が変わるのか。著者がこれをきっかけに少年法について考えて、少年院に講座をもつなどのルポも興味深く、考えさせられる内容でした。終盤は、著者が癌を患い死期が迫り、拙速に持論を展開し、佐世保事件に対するメッセージを綴っていましたが、もう少し練った形で発表したかっただろうなと感じました。2016/10/31
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