内容説明
『吾輩は猫である』を1905年に発表し、文壇に登場してから絶筆となった1916年の『明暗』まで、10年余りの作家活動で人生を深く考察した夏目漱石。その読み手として著名な直木賞作家・出久根達郎氏が、「漱石の作品のすべてが人生を論じている」として選んだ随筆、講演、書簡などから、人間と人生を凝視した警句と人生訓を読み取る。(講談社学術文庫) ※この電子書籍の底本である、講談社学術文庫の原本は、2001年4月に講談社より講談社文芸文庫として刊行されました。『漱石人生論集』は、講談社学術文庫を底本とし電子化した電子書籍のほかに、講談社文芸文庫を底本とし電子化した電子書籍も配信中です。電子書籍の講談社文芸文庫版には、電子書籍の講談社学術文庫版に収録されている「解説」(出久根達郎)が収録されていません。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みっぴー
55
漱石の公演や、書簡類、手帳、、、漱石の人となりを窺い知ることができる感動の一冊。「私の言ったことがよく分からなかったら、いつでも家にいらっしゃい。分かるまで説明しますから。」--学習院での公演。読むのは初めてではないが、読むたびにため息が出る。「それなら、生きていらっしゃい。」--これも、何度目だろうと感動する。書簡類は、相手ごとに砕けた口調だったり改まった口調だったりするのが面白い。特に武者小路に宛てた書簡がじんとした。手帳の『仮面』の箇条書きが怖い。一体どんな物語を書くつもりだったのだろうか……。2017/12/16
優希
48
漱石の人となりが垣間見れる1冊でした。2022/01/24
壱萬参仟縁
46
字体大きめ、ルビもあり、読みよいが、内容は重い。原本2001年初出。勉強せねば碌な者にはなれぬと覚悟すべし(10頁)。教師は必ず生徒よりえらきものにあらず(11頁)。体罰教師にはこの謙虚さがないんだろうな。漱石先生は、大学で一番心持ちの善かったのは図書館の閲覧室で新着の雑誌などを見る時(19頁)。やはり、読書でっせぇ。漱石先生は、本を書いて売るよりは、自費出版して同好者に只で頒(わか)つと一番良いのだが、貧乏でできないという(127頁)。今は無印の出版社名がなければ桁一つ安くなるのでいい時代かもしれない。2016/05/28
ふ~@豆板醤
25
人生や社会について論じている本。漱石の過去の講演などをそのまま載せているので文体が堅苦しく、しっかり読み取れたかはあまり自信がないけど(^_^;)「威張るなかれ、諂うなかれ、妄りに人を評するなかれ」という部分に背筋が伸び、「義務心を持っていない自由は本当の自由ではない」との考え方に共感し、「牛になることはどうしても必要です。吾々はとかく馬になりたがるが、牛には中々なり切れない」というフレーズに日々の時間の使い方を反省させられた。2017/01/09
navyblue
21
「私の個人主義」などの有名な講演から、友人や弟子への書簡、手帳に書き留めたメモなどどれも読み応えがある。弟子たちへの手紙には、面倒見の良い漱石の温かいまなざしを感じる。若き日の小宮には、木曜会に集まる人たちはみんないい人だから遠慮せず来てお話しなさい、とか、芥川龍之介には馬ではなく、牛におなりなさいと諭している。「文士の生活」には漱石の日常が口述の形で残されており、ちょっとしたユーモアも感じる。「自分は自分流にするのが自分に対する義務であり、かつ、天と親に対する義務である」それが漱石の生き方なのだ。2018/03/14
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